tdswordsworks

落下の解剖学のtdswordsworksのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.6
めっさおもれー!!!

この脚本の巧妙さは、話の展開ではなく登場人物の不安定で不可逆的な関係性の変化の描写にある。ザンドラと、夫、息子、旧知の仲の弁護士、学生とのそれぞれの関係性に対するザンドラの言動や態度が、雄弁にその複雑さを提示する。思ってることを正確に言葉にする難しさ、一つの事実に対する相反する解釈がぶつかる不条理さ。事件前日のシーンには息を呑んだ。目が眩むほど濃密な法廷劇だった。
遺体を解剖してみないとわからないことがあるし、解剖しても断定できないこともある。けれど断定しないと前に進めない。断定したかのような物言いが暴力に見えることにハッとした。
tdswordsworks

tdswordsworks