もちろん東京コミックショウのコント「レッドスネ~ク、カモ~ン!」とは、何の関係もありません(わかる人は少ないでしょうが一応)。
自分でボケといて何ですが、本作は現在進行形の複雑な国際間の問題を孕んだ実話ベースのシリアスな作品です。
原題はフランス語で“Sœurs d'armes”、英訳すると“Sisters in Arms”。
「戦友」を意味する英語の“Brothers in Arms”の「兄弟」を「姉妹」と入れ替えた言葉で、イスラム過激派(IS)と戦う女性兵士だけの実在の特殊部隊にちなんだタイトルです。
で、邦題のレッド・スネイクとはその実在の部隊“蛇の旅団”のメンバーである主人公のコード・ネーム。
しかし、こんな邦題では東京コミックショウは置いといても、ジャケ写のデザインも手伝ってシュワちゃんの『レッド・ブル』とか『レッド・ソニア』とか脳筋系アクション・エンタメ映画を連想してしまうんじゃないかと心配です。
イスラム教では女に殺されると天国(アッラーのもと)に行けないと信じられているため、これら女性戦闘部隊はISにとって恐怖の存在。
このことを初めて知ったのは、同じ題材ながら一足先に公開された『バハールの涙』を観て。
本作では、彼女たちに殺される直前のISの男たちは皆、男に殺させてくれと懇願します。
本作の“蛇の旅団”は、同じイラン系なのに宗教の違いからISに迫害される山岳民族クルド人を支援する連合軍の特殊部隊ですが、『バハールの涙』もやはり“太陽の女たち”というクルド人の女性だけの武装部隊の物語でした。
どちらの映画でもクルド人の男は改宗しなければ殺され、女は奴隷にされ、子供たちは戦闘要員や自爆要員として洗脳・訓練される恐ろしい様が描かれます。
どちらの作品も監督は女性です。
もはや全然珍しくなくなった女性監督ですが、本作も『バハール~』も、彼女たちの命を掛けた戦いを女性の自由と解放の象徴として描きたくなる題材なのでしょう。