けーはち

茲山魚譜 チャサンオボのけーはちのレビュー・感想・評価

茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)
3.7
韓流時代劇。禁制の天主教(キリスト教)信仰によって流刑となる学者は、流刑地の島で勉強熱心な漁師の青年と親交を深め、互いに師弟の絆を交わす。学者は海洋生物学の書物を纏め、漁師は科挙を受けて両班(高級官僚)の道へ──本作のタイトルともなった書物『茲山魚譜』は実在し、漁師の青年への謝辞が記してある。青年の実在に疑いはないが、本作における彼の人生については全くの創作だと思う。理想に燃える元漁師の純な青年が魑魅魍魎の跋扈する世界で都仕えしたら、どうなるか……話の筋は読めがちでタルい部分はなくもないが、韓流お得意の過剰な表現に頼らずモノクロの落ち着いた画面で切ない展開を魅せ、最後にはじんわり泣かせてくれて、完成度高く纏めている。異なる出自を持つ者同士が最初はすれ違うものの次第に認め合い、互いに影響を与え合う、心温まるドラマの黄金パターンの良作だ。