鉄生

岸和田少年愚連隊の鉄生のレビュー・感想・評価

岸和田少年愚連隊(1996年製作の映画)
3.5
大阪シリーズ第2弾
以前にも見たことあるけど、定期的に見ちゃう

幼少の頃私は大阪西成に住んでいた
世界有数のファンキータウン西成
そして、西成に負けず劣らずのファンキータウンが今作の舞台、岸和田である
従兄弟がすんでいたから良く遊びに行っていた街なのだ
チュンバと小鉄が疾走していた路地裏の風景や、お好み焼き屋さんなんて、私の記憶する原風景そのままだ
私にとっての大阪は西成と岸和田で完結してしまう

なんかもう…
ガラ悪すぎやんか!

さて今作
ナインティナインの二人が抜群に良い
喧嘩に明け暮れるゴンタな少年達を上手く演じている
主人公の矢部浩之氏演じるチュンバや岡村隆史氏演じる小鉄は、敵対する中学のヤンキーたちをやっつけては、仕返しされ、またやり返すの終わらないドツキあいの日々
鉄板で殴ってボコボコにして、みんなで袋だたき

現代あまり見かけなくなった、おもっきし気持ちのいい殴り合いを繰り広げてる
皆、思春期独特の鬱屈した心の闇を発酵させて爆発させることはない
ヤンキーは正しくケンカをして、ガリ勉君は正しく勉強に明け暮れる

これが日本の正しい学生生活なのだ

思春期の若者は皆、心の奥底に燃えたぎるマグマのような衝動を抱えている
その熱い衝動を勉強やスポーツに向けられない者たちは、どうする?
いつの時代も「はみ出し者」となって、大人と社会に反抗することで、自分自身を保つ
ヤンキー然り
暴走族然り

岸和田少年愚連隊の時代には、そんな「はみ出し者」たちの生き方にも、目に見えないルールがあったんだろうな
そして、そんな「はみ出し者」達が大人になる瞬間というのが、確かにあったのだ

そして現在
そんな「はみ出し者」達のルールも、大人になるタイミングも失われている
子どもが子どものまま大人になって、自分の欲望をコントロールできず、ままならない現実にキレて、取り返しのつかないことになってしまう

今は息苦しいんだよ
大人も子供も
もう少しみんなみんな
ヤンチャになって良いのかもね
鉄生

鉄生