Carly

ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイのCarlyのレビュー・感想・評価

3.9
まだ黒人差別が色濃く残るアメリカで、戦う為に歌うことを選んだビリー・ホリデイ。その強く気高い生き様と、彼女が陥った罠と薬物の恐怖がまざまざと描かれている作品だった。
アンドラ・デイの圧巻の歌声。その迫力はすさまじく引き込まれる。特にカーネギーホールで不死鳥の如く蘇った姿は最後まで脳裏から離れなかった。
『奇妙な果実』の歌詞に込められた、残虐で悲惨な経緯に絶望してしまう。当時、彼女の歌を聴いて彼らは自身のことを振り返り、忘れまいと決意を新たにしたに違いない。オープニングとラストのテロップを見ると、よりこの問題の深刻さが理解できる。
追い詰める側の捜査官のやり口が非道過ぎて最悪だった。けれどよくよく考えてみると、この分断を煽るようなやり口は今のわたしたちの社会でも似たようなものが蔓延っている気がしてならない。この映画がもたらす問題提起はきっと想像し得るよりも遥かに大きいのだろう。
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