もこぴよ

ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイのもこぴよのレビュー・感想・評価

3.8
冒頭の映像と文章、、苦しかった
過去の壮絶さはあまりガンと伝わって来なかったところで、薬物依存のビリーの姿に入り込みにくかった感は少しあるけど、全体としては皆様の演技が素晴らしかったので良かった

脚色ももしかしたら強いのかもしれないが、
ドラッグに溺れ、どんどんボロボロになっていくビリーが、それでも、どんなときも、黒人に対する人権を蔑ろにすることへの憤りとそれを歌に込め、訴え続ける芯の強さ、とてもかっこよく美しかった。

序盤は「奇妙な果実」を歌おうとすると妨げられ、曲の全貌が分からないままだったけれど、ツアー中のある家族の姿を目の当たりにした後の、怒り、悲しみに震えての「奇妙な果実」。
そこで、歌詞とあの家族の姿(あの家族以外のある人々の姿)が重なった。とても生々しく、苦しかった。
「奇妙な果実」だけでなく全てのアンドラ・デイの歌唱シーンは凄く惹き込まれた。特にエンドロールで流れる「オールオブミー」の歌唱では、感極まっての歌唱部分もあり、幻のダンスシーンとも相まって、ジミーへの愛が溢れているように思えて、勝手に涙が出てきた。

ビリーは独りぼっち、といわれていたように、愛すること、愛されることがわからず(ファンからの愛は感じてると思うけど)、信じては裏切られ、というビリーをジミーがすくい上げてくれた、と2人が体を交わすシーンから、嬉しい気持ちになった。

ビリー・ホリデイの曲が本当に良かったしアンドラ・デイの歌唱も本当に良かったので、聴きながら帰ります
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