Kz氏

陰陽師: とこしえの夢のKz氏のレビュー・感想・評価

陰陽師: とこしえの夢(2020年製作の映画)
3.5
中国の若者から圧倒的な支持を集めている監督の作品で、過去の盗作問題を理由に上映中止となったそうな。

陰陽五行は大陸由来のものだから、中国ファンタジーかと思ったら、2001年の滝田洋二郎監督作品と同じく夢枕獏原作。原題は「晴雅集」で、楽人・源博雅と陰陽師・安倍晴明コンビのことだろう。劇判がどこか懐かしいのは、川井憲次で、「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」(1995年)を思い起こすから。

日本では何となく神職イメージの陰陽師は、中国には感覚がないらしく、「法師」と呼ばれている。が、清明は大酒を吞み、虫を操る妖艶な女法師も登場するので、僧侶ではない。
実在の陰陽師は占い師であって、式神を駆使する心霊術使師ではないから、モデルがないのかもしれない。忍者のような、香港映画霊験道士のような。
舞台となる天都は、平安朝エキゾチジムの実在しない都市なのだろう。そのせいか、百鬼は夜行するが街に暮らす人がいない。

日中エンタメの混交が面白い。領土争いは古よりの国の性だが、こうした交流が出来るのが現代の智恵。その成果の世界配信を日常としたのは、コロナ下の功績のひとつ。
Kz氏

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