クライ・マッチョのFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

「一度終わった事をやり直す」というプロットの主軸がとにかく染みる。それは作中で反復される家族や仕事のシーンや足下のショットだけではなく、80年代に棚上げされた企画を2021年に作り上げたこと、そしてイーストウッド自身のフィルモグラフィにおける場面をもう一度映画に焼き付けることをも意味しているに違いない。しかしただの過去の繰り返しではない。なぜなら「運び屋ではない」から。マジックアワーを捉えた息を飲む美しいショット(特に影と一体に横たわるあの瞬間)、何気ない運転場面のあくびが印象に残る。最後のシーンは映画と人生の祝福に見えた。そんな本作を映画館でみることは特別な体験だった。