柊

ウォンカとチョコレート工場のはじまりの柊のレビュー・感想・評価

3.6
良い子のためのウィリー・ウォンカとチョコレート工場でした。
ティム・バートンが構築した世界観とは似てるようで本質的に全く違うテイスト。ウォンカの生い立ちそのものが違うので、人格もまるで違う。
そこは切り離して鑑賞しないと厄介だ。

そういう訳で、ティム・バートンのちょっと毒を仕込んだようなウィリー・ウォンカに囚われすぎると楽しさも半減しちゃうので要注意。別物です。
むしろティモシー・シャラメ演じるウォンカはチャーリーみたいな家族感を持った優しい男の子でした。でも何故か魔法が使える?そこは何故なんだとこだわるとこれまた面白く無くなるので、こだわらない方が良いと思う。
見た目普通のウォンカだからちょっと、魔法がチョイチョイ出てくるのは???なんだけど、そうでもしないと成り立たないからね。ま、いっか。

ウォンカの夢見るチョコレート工場はとても美しくて毒気なんてどこにも。誰にとってもチョコレートにより夢のパラダイスになってしまう。でもそこを良しとしない元々のチョコレート屋さんたちとそのチョコレート屋さんに支配される教会も警察もひねりがなくてつまらない。そうつまらないんです。下宿屋の2人も悪なのに全然面白味がない。
冬休みに幼い子どもと家族で観るには問題ないけど、大人としてはひねりがなくて退屈。
ではその退屈さをティモシー・シャラメの見た目と歌と踊りで超えてくれるのか?と期待するとそうでもない。
歌は無難に歌っていたけど、やっぱり声質って大事。心に響く歌って声質は大きい。ミュージカル寄りにするならそういう歌が歌える人が欲しかった。踊りもね。つまり歌も踊りも普通なんです。役者ならこれくらいできて平均点って感じ。
それに1番大切なチョコレートを殺しの道具にする演出は頂けない。食べ物が汚く見える。チョコレートで汚れた人間を観るのも嫌だ。そこは大きなマイナスポイント。
じゃあどこが良かったのよ?と問われれば、それはもちろんウンパルンパに尽きるでしょう。
モーリスからスタートしたイギリスの美青年もウンパルンパに行きつくなど当時を考えると感慨深い。もちろんこれは誰がやっても美味しい役。だからもっと活躍して欲しかったし、工場で働くウンパルンパを観たかった。
出番も遅かったしね…もっとウンパルンパ出せ〜って時計見ながら思った。

私にとってはティム・バートンのチャリチョコがストーリーも含めて好き。ただしウンパルンパは同位かな。ティム・バートンのウンパルンパも良かったです。
柊