鰹よろし

デューン・ サバイバー 砂の惑星の鰹よろしのレビュー・感想・評価

2.5
 敵と称するヒト型のエイリアン(ドレック?)と地球から遥か彼方のどこかでスター・ウォーズを繰り広げる未来。本来第一線で戦うはずのなかった予備隊に所属していたアドラーはいきなり宇宙戦争のど真ん中に放り出されてしまい善戦も虚しく砂の惑星へと不時着してしまうのだった...

 目的地へと向かう道程において皮算用な報告に浮かれ威勢がよくなっていた予備隊メンバーの眼前に、敵と味方が入り乱れ両者の区別が全くつかないスターウォーズなドッグファイトの光景を突きつける導入が凄まじい。

 コックピット内にある敵味方を判別し戦況が表示されるモニター及び、味方各機の悲痛な表情と叫びに包まれているZoom会議な目の前のどれかと繋がっている交信を併せ、確かにそこにある混乱と恐怖を際立て、且つその先にある死を味方ではなく一見人間と見紛う敵の実体を以て魅せることで、戦争という現実へと一気に引きずり込む。

 助けを求め叫ぶ声に何ができるわけでもなく目を背け耳を閉ざす他無い状況が、例外などない明日は我が身な戦場において下される見捨てるという決断が、後に自身が晒されることになる境遇をこれでもかと惹き立てる。 

 不時着してからの孤立無援なサバイバル活劇は正直退屈ではあるものの・・・

 拠点となるドームを薄っぺらい簡易テントにすることでよく見るホラー演出をしてみたり、お互いにレーザー銃が効かない設定にして肉弾戦を魅せてみたりと、様々なジャンルで魅せる工夫は興味深い。

 また人類の宇宙船が2人乗りの背中合わせなコックピットであるのに対し、詳細はわからないがエイリアン側は3人乗りだったり、エイリアンも同じ惑星に墜落してみたり、

 録画のメッセージとリアルタイムで交信における目線や目配せにやり取りの差異、皮算用な計画と実際の作戦の有様に安全な場所でのイキリと第一線での戸惑いを魅せたり、

 宇宙空間において本来の実力を発揮する宇宙船の地上における機能と無能、レーザー銃の効力と射程距離、コード・暗証番号の桁数問題やあるある問題を描いたりと、

 空間的時間的な奥行きをもたせようとする細かな演出が滅茶苦茶丁寧。

 宇宙空間においては寄りの画から迫力十二分なスターウォーズを演出した反面、不時着した砂の惑星では俯瞰視点から独りの人間にアプローチする演出をとっているのもまた面白く、

 当初はイチ隊員に過ぎなかった彼女の生還が人類にとってどんな意味があるのか?とするオトしに至るまで、この世界の物語の大風呂敷を広げてやろうとする気概がもうビンビンで、もうすこしこの先のお話をこの世界に魅せられたくなったよ。

 個々の視点で別個に落とされた情報を別の視点や角度から繋いでいく補完していく絵作り、また自らの選択や決断が巡り巡って自身に還ってくるお話の構成と構造、全容を見せずとも描かずともそれを想像させようとする、その世界をより深くより外へと気持ちを意識を向かせようとする意気込みが本当に素晴らしい作品だった。


「スター・ウォーズ」シリーズ...「マクロス」シリーズ...「インデペンデンス・デイ」(1996)...「処刑惑星」(2010)...「インター・プラネット」(2016)...
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