篠田正浩監督作品…初鑑賞…。
泉鏡花 × 坂東玉三郎
冒頭の端折り、若干の原作との違いはありますが…鏡花の美しい台詞回し…"雅"を体現する唯一無二の坂東玉三郎に心酔です…。
時は大正2年…越前の夜叉ヶ池には竜神が住むという言い伝え…そしてその竜神を鎮めるには、日に3度鐘を撞がなければならないという…。
夜叉ヶ池の伝説を調査しにやって来た学者の山沢学円(山崎努)…迷い込んだ池の辺りで不思議な雰囲気の女性、百合(坂東玉三郎)と出会います…。
夫とふたりで鐘楼守をしているという百合…山奥にある彼女の家に招かれた山沢は、百合の夫が数年前に行方不明になった親友の萩原晃(加藤剛)だと知り驚愕します…。
一方、夜叉ヶ池の中…竜神・白雪姫(玉三郎2役)は剣ヶ峰の恋人のところへ赴きたくて仕方がありません…我儘な化け物ながら、恋に燃える姫…玉三郎の真骨頂、立女形です…。
そして、そこは魑魅魍魎どもが渦巻く妖気ファンタジーの世界…まさに鏡花の世界の見せ所…多少今観るとチープ感は否めませんが、外連味たっぷりでユーモラスに描かれています…。
竜神・白雪姫は恋しい相手と離れ離れですが…鐘が撞かれている限りは、身動きが取れません…。
しかし村人たちが取った行動が大惨事を招くことに…。
現実世界での百合は薄化粧の為か…若干男性を感じる瞬間が無くは無いですが…それでも、ヨヨヨッとよろけるところは、世の中のどんな女性よりも女性…流石!! 細かい所作はとても勉強になります…。
また、冨田勲さんのシンセサイザーが劇伴として使われ、多少滑稽にも聞こえたりしますが…どこかSFっぽさもあり,怪しい雰囲気を醸し出します…。
そしてクライマックス…人間の業は遂に…。
荘厳な映像美…大自然の驚異と共に人間の愚かさを露呈…圧巻過ぎて…思わず失笑…ෆ*