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ザ・スクエア 思いやりの聖域のbennoのレビュー・感想・評価

3.8
ず〰︎っと気まず〰︎いს

流石、ハネケ監督のファンであることを公言しているリューベン・オストルンド監督…辛辣な観察眼で人間の本性の厭〰︎な部分を炙り出します…


主人公は所謂、人生の成功者、地位と名誉を手にした現代美術館のチーフキュレーターであるイケオジのクリスティアン

美術館では"思いやり"をテーマに《ザ・スクエア》という4m四方に地面を区切った"四角形"の展示物を企画中…そこは信頼と思いやりの聖域とされ、この中では誰もが平等の権利と義務を持つとされる斬新な作品…私にはさっぱりイミフのアート꩜

そんな中、ある日、クリスティアンは街の雑踏でスリに遭い財布、スマホを盗まれてしまいます…それらを取り返す為にGPSを駆使し、貧困層のアパートを突き止めます…そして脅迫状を作成し全室に投函…そのことが予期せぬ事態を引き起こします…


     𓂃٭𓂃٭𓂃٭𓂃٭𓂃٭𓂃٭𓂃


物語が進むにつれ、クリスティアンのスタイリッシュでインテリなエリートの仮面が剥がれ、女性にだらし無く、仕事で思いやりをテーマにしているにも関わらず利己的で無責任…と、俗物ぶりを露呈

あらゆる風刺を取り入れたギャグが…シニカル過ぎて笑えません…ს


レセプションパーティの食事の席での出し物(?!)はモンキーマン(猿に扮した人間)…しかし思いの外暴れん坊猿…この如何にもの異質感とやりたい放題は…EUにとって脅威である移民を示唆するメタファーとして明明白白

誰かが始めに動き出さなければ誰も動かない…そして最後はモンキーマンをみんなで袋叩き…

群集心理を突いたヒリヒリとした緊張感…皮肉たっぷりの演出は秀逸です

また、今作では福祉国家であるスウェーデンにおける貧富の格差問題も浮き彫りに…エリートの考える思い上がった思いやり…主人公の行動は悉くアートのテーマから逸脱…これは現代人への痛烈な批判にも捉えられます

とことん不快を突き通し皮肉たっぷりですが…監督の母国に対する《愛》と問題提起を含んだ作品

音楽はヨーヨー・マ & ボビー・マクファーリンの♪Ave Maria など…ボビーのヴォーカルが緊張を和らげますε-('ᵕ' ;)ホッ♪
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