微少女

14歳の栞の微少女のレビュー・感想・評価

14歳の栞(2021年製作の映画)
4.8
めんどくさいと愛おしいで動くアンビバレントな中学生たちが等身大で、私もめんどくさいと愛おしいに振り回されたよ。

彼らは自分のことが大好きで大嫌いで、人のことも大好きで大嫌いで、でもそんな生徒たちを見ていると、私なんて別に25歳になってもたいして変わってなくて。
「懐かしい」とか「あの日だ」とかじゃなくて、どちらかというと「まだまだ変わんねえなぁ」と思いながら自分を重ね合わせて観た。
先生たちの「自分を信じろ!」という言葉。それって中学生の彼らに向けたメッセージでもあり、観ている私へのメッセージのようにも思えた。

それと同時に、これは制作者的な目線だけど、どうやったらあんなに中学生たちの日々を撮れるんだろうと不思議にもなった。各々の登場人物のねらいは決めていたんだろうか……インタビューはどれくらい時間をかけたんだろう……どうやって周りの大人や組織を説き伏せたんだろう……浮かぶ疑問は様々なれど、私もあんなふうに「簡単なあらすじなんかにまとまって」ない物語をいつか作れるんだろうか、うつせるんだろうか、そんなことをずーっと考えた。
目の前の人を大切に撮って、大切に編集して、大切に世に出す。簡単に書けることだけど、全然簡単じゃないのを知ってるだけに製作陣に感服です。

この映画を観ることができてよかった。私はまだまだめんどくさいと愛おしいとのはざまで生きていこうと思います。
あの頃に戻りたいか?と言われたら戻りたくはないけど、時々思い出しながらね!

そしてそして、全部を見たあとのドローンの長回しカット……関係性も考えてることもわかったうえで見ると2年6組が俯瞰なのにありありと浮かんできて泣いちゃった。
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