映画を楽しんで見たかというとそうではないけど、とてつもない傑作を目の当たりにしてるようだった。強靭な原作と天才監督が手を組んだことで、一見ボロボロになりそうな邦画SFをここまで完成度の高い作品に仕上げてしまったというのがまず凄い。不老不死が実現した世界なんて想像もできないし、その選択によって人生がどうなるのかも全く分からないけど、それでも考えずにはいられなくなるような映像化。抽象的なテーマでありながら説明的に事を進めているわけではないので、頭が追いつかない。ピシッとした映像と揺蕩うモノクロの映像が作品に大きな変化をつけていると同時に、手持ちカメラは俺苦手だぁ〜と気づいてしまった。そんなことはどうでもいいんですけど、考察や解説を見て解像度が広がると、これまた何十倍にも面白くなる映画だなと。今の自分には楽しむだけの技量がなかったので、またいつか再挑戦したい。本当にいろいろ考えようのある映画！
さっき見た『点』に引き続き、石川慶監督は一生ついていきたい監督だなぁと改めて。『ある男』も今年ベスト級の邦画でした。
