Arc アークの作品情報・感想・評価

「Arc アーク」に投稿された感想・評価

鴨橋立

鴨橋立の感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

石川慶監督の最新作、ハイクオリティ日本型SF、一個一個の画でハッとさせられる。

例えばSFと言いつつどことなくアナログな質感を残した工房のような施設や

そこで行われる舞と操り人形を組み合わせたような装置で死体を永久保存するというプラスティネーション。

プラスティネーションと不老不死、若干前半と後半で違う話な印象もあるけど実はどちらも命についての人間の抗いの話で、

死んでも美しく残るプラスティネーションとそもそも死なないという不老不死、

どちらも命が消えることのマイナス面とそれに抗う姿を描いている、やっぱり命についての物語なのか。

オリジナリティ溢れる画とそこから生まれる世界観は本当に見てて楽しい。

もっと踏み込んで考えると人間は歳をとらなくなると進化や進歩、考え方すらもほぼほぼ変わらなくなるのかも、

結局死というタイムリミットがあるから人間は、生き物はより良くなろうと成長するんだという気がする。

人類という種として考えると細胞が新陳代謝しなくなって成長も見込めず、なんなら心がダメになって自殺しまくってるならそれって結構深刻な病だとも思う。

例え個人が永久に生きられたとしても。。

まあそんなこと考えるくらいには説得力のある映画でしたとさ。。

あ、でも冒頭のダンス大会みたいなのはしょぼい「CLIMAX」みたいでギリギリしょっぱい感じだった。。。
kouki

koukiの感想・評価

3.9
直接的に訴えるシーンと比喩的なシーンが交互に来て、一瞬でも考えるのを止めたら着いていけなくなる感が好き。

語弊を恐れずに言うと、これを観たら死にたくなるかも?でも生きる意志も強くなるかも?
ポカリ

ポカリの感想・評価

2.5
本作で描かれている、人が寿命という制限から解き放たれた世界の定義というか、問題づけが曖昧すぎて全くピンとこなかった。この設定が実現した場合、出生率が下がる以前に人口増えすぎて大変なことにならないか??

そもそも250年分のローンを組むだけで誰もが長生きできる、っていう前提がおかしくて…エネルギーや資源、環境の問題、先に挙げた人口爆発、その他諸々の問題を考えたら、実際はノアの方舟と同様、天才や文化人のように人類の進歩に重要な役割を果たす人から順に長生きの権利を得るのがセオリーでしょ?と思うので、全体的にあり得ない夢物語だなという印象を受けた。

17~30歳までの芳根京子の顔つきがまるで別人みたいで、鼻筋と目元整形した?と疑いながらガン見しちゃったんだが、後半に向かうほど見慣れた顔つきに戻ってきたし、寺島しのぶも作中で時が経つにつれて負ってきた心労の大きさがよく分かる顔立ちにどんどん変化していくので、メイク技術の高さが伺える一作だな、と思えた。

序盤のダンスやプラスティネーションの造形、モノクロ描写、グザヴィエ・ドラン作品風のインタビュー形式…などなど、邦画ではあまり見かけない描写が多く見られた点は挑戦的で面白かった。
rokoroko

rokorokoの感想・評価

3.4
不思議な感じ。限りある命だから、今この時を大切に思い出に残るように生きていこう。と、自分の中で再確認!

このレビューはネタバレを含みます

日本でしかできないSF映画の傑作!
「何のために生きるのか?」
「生きるとは一体何なのか?」など哲学的なテーマを孕んだ本作は、本作なりの解答を映画内で示しつつも観客にも問いかけを
投げる姿勢が素晴らしい!
監督自身の意見を投げやりに伝えるのではなく、しっかりとある程度の"余白"を残すことで作品に深みが出ている。
もちろん、完璧なSF映画という訳でもない
「遠くない未来」という近未来が舞台にも関わらず、最先端な設備なども一切なく
ラストも不老不死の措置をそんなに簡単に
取り除けるのも頂けない。
それでも近年衰退している日本産のSF映画
でも、群を抜いた出来の作品です。
2021年映画日記82
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17歳で生まれたばかりの息子と別れ放浪生活を始めたリナ。彼女は19歳の時、エターニティ社のエマと出会ったことを機に、不老不死の研究を巡る数奇な運命に身を委ねることになる~🐽💨不老不死を通して果たしてそれが幸せなことなのかを問うなかなか哲学的なテーマの作品だったな、これ~😭😭😭😭
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若さを保ったまま永遠の命を手に入れた時、人は果たして幸せなのか、どう生きようとするのか。

あえてSFぽさを消し、個人の生き方を探るスタイルは悪くない。が、当然リアリティはなくなんともハマらない。オチもいまいちでピンとこない作品だった。

出だしの寺島しのぶの操り人形みたいなシーンで吹き出してしまって、そこからのれなかったのが大きかったかも。
芳根京子さんが出るので見てきた。
こんなにいろいろ考えさせられる映画は久しぶりに見た。ノマドランド以来である。不老不死とはどういったものなのか、そして、もしそのようなことをしなかった時の二極化がどのようになるのか。現実にあるかどうかはわからないが、プラスティネーションに少し興味が湧いた。そして、エマの考え方もとても理解できた。もし自分も死んだら、プラスティネーションでいいかなと思う。
不老処置をしていないとある人物がすごく主人公に毛嫌いしているように見えたから、もしかしてと思ったら案の定予想通りだった。この映画は死ぬことや人生とは何かを教えてくれる映画だった。
SFと言っているがあまりSF要素は感じられなかった。そして、時代が進んでいるのに進化が全然見られなかった。あと、娘の年齢が時間軸にあっているかわからなかった。そこが理解できなかったから誰か教えて欲しいです!

2021年80本目
yasu

yasuの感想・評価

3.1
SF小説が原作なんでしょうか。設定や物語のテーマは挑戦的で良いと思います。しかしながら、物語への没入感や感動はいまいちだったかなと。物語の主軸となる芳根さんの演技が軽く感じられてしまいました。後半の近未来の描き方も工夫したというよりは小手先でごまかした印象。

このレビューはネタバレを含みます

 ものすごく面白いというわけではないのだが、大変興味深い映画だった。原作を映画用にうまくアレンジした部分もあるし、問題があるように感じる部分もある。

 まず前半と後半で違う映画になっているところは好みが分かれるところだろう。リナが主体的に永遠の命を得ようとするのをテンポよく描く前半に対して、後半はかなりテンポを落としてリナが死生を見つめるわりと丁寧な話になっている。映画用のアレンジでよかったのは、プラスティネーションのプロセスに舞踏の要素を取り入れている点だ。あやつり人形のようなシステムは原作にもあるのだが、細かい描写は省かれているので永真やリナに振り付けをつけて映画的に見せる演出はとてもいいと思った。前半はそういう感じで、プラスティネーションは作品創造であるという視点を通して、その後の不老と死の対立をうまく引き立たせている。
 しかしながら、後半になると家族ドラマのようなまったく違う映画がはじまってしまい、リナのプラスティネーションへの拘りみたいなものもなく、親子の線ばかりが強調されていく。ここが原作からの大幅改変で個人的には違和感があり、この解釈では脈々と続く血の繋がりこそ大事……というような話に矮小化してしまっていると感じた。原作は生命倫理や時間、血縁だけではない愛といったもっと多層的な語りがされている作品なので、映画が後半でリナたち親子の話に一時間もかけてしまうと、そもそものテーマが持つさまざな魅力に目を向けられなくなるんじゃないだろうか。わかりやすく語るためにこうなるのは仕方がないとはいえ、前半の要素が全体的に利いていないので構成がちょっと残念だ。

 主演の芳根京子の演技はとても良く、特に前半はリナの成長の具合をしっかり演じていたと思う。高齢になればなるほど無理が生じてくるので、そのへんは老人ホームの設定を使って周囲と比べてリナをファンタジーな存在として見立てたり、モノクロの画面で彼女の時間が実は止まっていることを表現しているのかなと思った。息子の利仁との親子設定も小林薫の演技によって納得できるものになっているのだが、利仁とハルがきょうだいというのは頭では理解できてもどうにもそう見えなくて、ずっと親戚のおじさんと子どもにしか見えなかった。
 モンタージュで出てくるプラスティネーション希望者や天音の庭に入居する人々が素人なのかプロなのか異様にリアルな喋りをしており、SF題材でも現実味を感じさせるシーンになっていて非常に効果的だった。魅力的だが難しい題材を監督の石川慶はこういった演出によってネジを締めていて、すべてがうまくいったとはいえないものの、チャレンジングな企画をよくがんばったと思う。
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