ミシンそば

獅子座のミシンそばのレビュー・感想・評価

獅子座(1959年製作の映画)
4.0
破滅するべくして破滅するカスみたいな男が、パリをフラフラしながらウロチョロするだけの話。
そんな話だが、(後に教訓話なんてのを作る)エリック・ロメールが作ったんだから事はそう単純ではない。
これが長編デビュー作で、後のバカンス映画なんかもここからバチボコに枝分かれさせたのかなとも邪推。

最初の、親族の死を喜んでのバカ騒ぎもほどほどに、遺産相続出来なくなって首が回らなくなる当たり前すぎる筋書は、いつの時代もいるよなって度しがたい愚かさだし、そのレベルに落ちるのは誰にとっても他人事ではない危うさがある。
ジェス・ハーン演じるピエールが、プライドが高い芸術家気取りで、危機的状況に陥ってるのに働くって選択を取れないクズっぷりなのに、そこも含めて笑っていいのかってリアル振りだ。

ホテルを追ン出されて、無一文になり、最初は悪態とかつくけど次第にその元気もなくなるパリウロチョロは、ピエールの感じた疲労感をこちらにも伝える長々しさ。

最後はなぜかハッピーエンド的な着地点に行き着くが、寧ろ無限ループに入ったのかなって思えてくる。
自分はピエールの学ばなさにちょっと目眩がしたし、そこがスコア四点台の決め手になった。