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ひらいての708のネタバレレビュー・内容・結末

ひらいて(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

たとえ、という名の好きな男子が見向きもしてくれなくて、ひっそりと付き合ってる別なクラスの美雪という女子がいることがわかったから、美雪を寝取るというエグくこじらせまくった凄い女子、愛。原作は未読です。

美雪という人物にも女性にも、特に興味があるわけでもないのに、精神的にも肉体的にも美雪に迫って入り込む愛。たとえに嫌がらせをして困らせたいとか、たとえにちょっとでも近づきたいとか、たとえに自分の存在にも目を向けさせたいとか、愛のいろんな気持ちが交差しているのもわからなくはありません。こんなに好きなのに、振り向いてもらうにはどうしたらいいのよ、と言わんばかりに横暴に暴走。でも、それやっちゃうと、絶対にたとえに振り向いてもらえない方向に、愛はどんどん突っ走ります。

「どうして糖尿病を患ってる美雪がよくて、
 元気で健康な私じゃ駄目なの?!」

「なんで同じ学校なのに、
 ひと言も話さずにコソコソ手紙のやり取りしてんの?!」

「それって付き合ってるって言えるの?!」

…そんな愛の悲痛な叫びやもどかしさが、随所で暴力的に爆発。とても痛かったです。元々愛が持っている攻撃性やデリカシーのなさは、目覚まし時計で凄い音をチョイスしちゃうとか、部屋も散らかりまくってるあたりに現れてます。

だけど、たとえの父の支配的な態度にはっきりと反抗した愛はよかったです。たとえと美雪の煮え切らないふんわりとした部分と、愛のはっきりと自己主張できて、行動的な部分を足して割ればちょうどいいのに。ちなみに、3月生まれという美雪は魚座で、愛は牡羊座、たとえは牡牛座なんじゃないかと思ってます。

家に訪ねてきた愛と美雪に、たとえの父がかまぼこを出して包丁で切ったシーンで、てっきり誰かがたとえの父を刺すんじゃないかと思ってたら肩透かし。愛が一番刺しそうだけど、それまで静かだったたとえか美雪が刺すんじゃないか…と期待してしまいましたが、そんな物語じゃないですね。失礼いたしました。
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