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ひらいてのkoyoのレビュー・感想・評価

ひらいて(2021年製作の映画)
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好きな男の子と話すためにわざと階段からゴミ箱ぶん投げて一緒に掃除させるような、利己的で自分勝手な“愛“。自分だけが彼の魅力に気づいていると思っていたのに、彼には秘密の恋人がいた。そんな二人の世界に無理やり入り込んだことから、奇妙な三角関係が始まる。

「なんで西村君が美雪を好きかわかるよ。弱くて優しくて狭い世界にいるからでしょ。一緒の世界にいるふりをして、見下して安心してるんだ。」「俺はお前みたいな奴が嫌いだよ。暴力的でなんでも思い通りにやってきて、自分の欲望のためなら人の気持ちなんて関係ない。」「貧しい笑顔だね。瞳が薄暗い、自分しか好きじゃない人間の笑顔だよ。」(これは父親と愛を重ねてるたとえの気持ちだ)。「自分勝手で我慢など知らない愛ちゃんが、たとえ打算的であっても私の前で辛抱強くふるまい続けたのなら、ほんのひと時でも心を開いてくれたのなら、私はその瞬間を忘れることができません。(美雪の手紙)」

衝動的で、わがままで、暴力的で、不器用で。愛が欲しかったのは“たとえ“か、それとも小さな世界で愛を育む二人の関係性か、はたまた単なるエゴイズムか。心を「ひらいて」くれる人を求めている、そんな彼女を愛さずにはいられない。
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