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悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズの都部のレビュー・感想・評価

3.8
傑作カルト映画『悪魔のいけにえ』の新たなるリブート映画にして一作目に続く新たなる仕切り直しでもあり、ターミネーターの如くワタシ再生産されるシリーズは続編の最適解を見つける為に映画を作り続ける──正当なる1作目の続編と銘打たれたシリーズとしては9作目の本作は原点のカルト有り得る要素を差し引いて、風通しの良さを感じるスラッシャー描写で装飾した痛快な作品となっている。

そうした作風の変化やその割に70年代ホラー映画並に詰めの甘い行動を繰り返す登場人物像が世間評価としては酷評に繋がっているようだが、個人的には景気良く大勢の人間が死んでいくので一本の映画としては大変楽しめた。思わず笑ってしまうようなラストの滑らかな死亡シーンまで非常にエンタメをしている。

ご存知のように原点である『悪魔のいけにえ』にスラッシャー描写はさして含まれず、本作はその枷を取り払ったように連続して容赦のない殺害が多くの人間を襲う。中でも印象的なスマートフォン依存を皮肉するシークエンスのセンスは古めかしいと感じたが、その後のバスでの一連の殺戮は見せ方も構図も最高と呼んで差し支えない出来だ。生首晒しや身体両断が多めなのもサービス精神に溢れていて大変よろしい。

かようなリブート作品ではすっかりお馴染みのオリジナル版の生存者が優秀な復讐者として登場する筋書きは本作もまたその例外に漏れないが、本作のそれは滅茶苦茶個人的な復讐の為に本作の主人公陣とお構い無しに動き回るので脚本上で重要な役割を果たしていたとは言い難く、昨今の作品群を思うとその点は残念である。またレザーフェイスの動機が殺戮から復讐に置き換わっているという点で、その半端な狂気に早々から辟易してしまう節もあったので本作を一作目の精神的な続編と呼ぶのはどうにも難易だ。

とはいえ前述の通りに一本のスラッシャー映画としては痛快に人が死んで楽しい作品なので、気負わず期待値を低めに鑑賞することを推奨する。
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