製作者によるハリウッドへの悪ふざけパロディに満ちた作品ながら、破綻することなくちゃんと娯楽映画として戦争ものとしても成立しているところに監督を務めたベン・スティラーの非凡な才能が伺える(演技は安定したいつものスティラー節だったけれど)。それに本編で登場するフェイク作品の予告編がいかにもハリウッドでありそうな作品っぽいところも◎。
そして戦争映画を撮るためジャングルの奥地を訪れた俳優たちが、本物の戦闘を「映画の仕込み」と勘違いしててんやわんやを繰り広げるドラマはアホらしいけれど、そんな状況でも映画のことを心配して命がけで撮影した作品を完成させるため俳優たちが一致団結して地獄から脱出しようとする展開は楽しいしそんな中に役者が自分と役柄との距離を見失ったり派手な社会で本当の自分をさらけ出せないことに悩んだりとリアルな問題を提示してするなどシリアスな面を組み入れているのも作品のバランスを良くしている。
主役三人のはっちゃけ演技も良いけれど、やはりトム・クルーズのインパクトには負けるな。あとどんな登場人物よりもベンのエージェントを演じるマシュー・マコノヒーが熱い魂を持っているのが狂っている、終盤の活躍ぶりは「お前がその役割を担うのか」と笑うしかなかった。
ラストはあまりにもふざけていて脱力してしまったが、同時にこうしたおふざけもエンターテイメントとして吸収してしまうハリウッドの奥深さを痛感した。