地底獣国

対峙の地底獣国のレビュー・感想・評価

対峙(2021年製作の映画)
3.8
公開初日のレイト、貸し切り状態で鑑賞。

原題のMassはミサ、もしくはミサ曲とmass shooting(乱射事件)のダブルミーニングらしい。

11人の死者(犠牲者10名プラス犯人1人)を出したとあるスクールシューティング事件から6年後、被害者のひとりエヴァンの両親(ジェイ、ゲイル)が加害者の両親(リチャード、リンダ)と対話する、という内容。劇中言及される事件は架空のものだが、監督は実際に行われている被害者遺族と加害者遺族の話し合いに興味を抱き、本作のシナリオを書いたそう。

形式的な挨拶から始まり、慎重に言葉を選びながら進んできた対話はしかし、核心に近づくにつれ感情を抑えられなくなりジェイはつい声を荒げてしまう。現実的にはこういう場合ファシリテーターが介入してクールダウンさせるらしいけど監督は劇的効果を優先させたとのこと。

区切りをつけて前に進みたいという思いは共通しているけど、それ以外の部分では加害者側と被害者側は勿論、ゲイルとジェイ、リンダとリチャードの間でも温度差があって会話がどう転がるか見えて来ない。発言のたびに同じ人物に対し共感したり反発したりと、観ているこちらの感情が揺さぶられまくる(個人的には一番感情移入できなかったのはリチャードなんだが、同時に彼に対して最も「そうなるよなぁ」と感じてしまった)。

そういういい意味でディスカッションドラマのお手本の様な展開を経て、しこりを残しつつも綺麗にまとまる雰囲気になり以下ネタバレありコメントへ続く
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