ブラックチェリープラム

対峙のブラックチェリープラムのレビュー・感想・評価

対峙(2021年製作の映画)
4.5

高校生の銃乱射事件の被害者の親と、加害者の親による対話。
この設定だけで、これはどういう対話になるのか見なくてはと思った。

想像通りに重苦しく、張り詰めた緊張感を強いられるが、学ぶことの多い作品。
現代社会は、ネットの進化や家族のかたちが変わっていく中で様々な病に晒されている。
そうした不寛容な時代において、十字架の前で人間にとって普遍的なものは何か深く考えさせられる。

「ラストクリスマス」「何を言えばいいのか教えてほしい」「(息子は)生まれなければよかった」…
会話というか、ときおり感情が抑えられつつも剥き出しになる言葉や
加害者と被害者のそれぞれの生い立ちを偲ばせる話を経て、

「赦します」
「ヘイゲンも赦します」

その言葉が発せられたとき、鳥肌が立ち、同時にその言葉の重さに心抉られる。

加えてシンプルなようにみえて、計算され尽くした演出と4人のリアル過ぎる演技に魂が揺さぶられた。
映画とはこんな奇跡を起こすことが出来るんですね。