かもいぬ校正

白い牛のバラッドのかもいぬ校正のレビュー・感想・評価

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)
4.3
死刑で夫を失い、聾唖の娘をひとりで育てるシングルマザー。のちに真犯人が判明し、彼女は裁判所に謝罪を求めて闘おうとするが、話さえ聞いてもらえず一蹴されてしまう。
そんな彼女のもとに、以前夫に世話になったという男が訪ねてきて…。

中国に次ぐ死刑大国イランで、果敢に制作された社会派映画。
派手なインパクトはないけれど、静かな展開に浸っていると、徴兵制のくだりや、夫を亡くした女性への視線など弱い者への冷酷さに圧される。
イランの女性は就業率が低いが、主人公の女性は牛乳工場で働いている。しかし、それは女性の自由度を示すものとはいえない。国家からの管理、古くからある社会規範、文化など、さまざまな様相が絡みあっている。制限された国ならではの決死の表現や物語には驚嘆しかなかった。