オオイタ

アンラッキー・セックス またはイカれたポルノのオオイタのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

いやまじで、これはやられました。最初はとんでもない始まり方から、自身のポルノが流出してしまった主人公が街中を歩き回る様子が、なんとなく『5時から7時までのクレオ』みたいだけれど全くおしゃれさはなく、コロナ以降の社会がそのまま描写されていた。イラついて客にキレる奴、違法駐車を指摘されて逆ギレする奴、とにかくロクでもない。

そんな本作の傑出な点が2部から。百科事典と題して、ルーマニアへの理解を深めるようなそれでもってモンティパイソン的なシニカルな映像の連続。2部で物語は中断したと思われたが、綺麗に接続詞としての役割を果たしているのが素晴らしい。

3部での主人公vs保護者の構図は、主人公がモラルに反する行為をした「加害者」として、保護者は子供達のためのもと「被害者」としてちぐはぐな議論を展開させる。女性の中にもあるミソジニーや、論破したと勝ち誇った表情を見せる男性のただ捲し立てただけの滑稽さ、主人公の味方と思いきや、ただ知識をひけらかしたいだけのリベラル男性、陰謀論者、この議論に参加した人たちの多様性はそのまま、現在の社会の縮図だった。

これをあくまでもコメディとしてまとめあげた監督の手腕にただ呆然とするしかない。
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