ゴリアテの憂鬱

アンラッキー・セックス またはイカれたポルノのゴリアテの憂鬱のレビュー・感想・評価

4.1
ある教師のプライベートセックス動画がネットに流出してしまうというアホらしい話を、ここまで下品さを感じさせず(冒頭は流石に度肝抜かれるくらい下品でしたけども)政治的なメッセージを込めつつ知的に描くことができるのは、ゴダール亡き今ではジュデが最右翼なのではないかと思います。

本作を無修正版で配信するJAIHOが1番イカれています。
1ヶ月でまた解約したろと思ってたのに、なんだか応援したくなってきます。

家族のある男性と、一人暮らし以外の女性は、本作を再生する前に周りの環境に注意を払った方が良いです。
僕はというと、冒頭の激ヤバシーンを含む前半は自宅で観て、後半はお店のバックルームみたいなところで休憩時間に続きを観てたのですが、冒頭以降は下品さが落ち着いていたので安心しきってたところ、作中で校長が突然また冒頭の動画を皆に見てもらおうと再生するものだから、お店のバックルームのパソコンから行為中の声が流れ出してしまって、少し離れたところで事務作業をしてくれてた若い女性スタッフに完全に聞かれてしまってたと思います。
スタッフの子は優しさからか気まずさからか何も聞こえてない様子で淡々と事務仕事を続けてくれているので、僕もここで停止ボタンを押したら男が廃ると思い、まるで政治討論番組を観てるかの形相で視聴し続け内心では早くこの場面が終わってくれと願っていました。

章が変わる時に出てくるピンク色のエディトリアルデザインとヘンテコな音楽がとてもチャーミングで、シリアスな本編の間の箸休め的な役割としてもセンス抜群の演出でした。
ここの部分に関してだけ言えば、ウェス・アンダーソン以上にオシャレ女子の心を掴めるのではないでしょうか。

ラド・ジュデ監督の作品はこれで3作目ですが、一見、変幻自在のようで伝えたいことは一貫してしっかりとある監督だと思います。