夫とのセックス動画が流出してしまった教師の姿を通して、ルーマニア社会や人間世界全体の問題をブラックコメディとして描いた問題作。
ポルノグラフィというデリケートな話題を、アイロニーとユーモア満載で切り込んでいく。
保護者への釈明を強いられる主人公は、苛立ちと焦燥感を胸に街を彷徨う。
貧困や差別などの国家問題を見せていく第1章と第2章。
そして第3章の集会ではミソジニー、反ユダヤ主義などさまざまな価値観を持つ保護者が集まった上で繰り広げられる、不快で鋭い議論。
社会の偽善を暴く切り口を持っている作品。
コロナ禍の実情を反映させて、マスクをつけた状態で撮影されたのもミソ。
ただ、とても期待値を上げてしまっていたからか、映画としては少しガッカリだった。
ここまでわかりやすく声高にではなく、もう少しフィクションとしての膨らみが欲しかった。