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ボーはおそれているのcreampuffのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

公開直後から、二度と見たくないなど話題を呼んでいたこちらの作品。
率直な感想としては、めちゃくちゃアリアスターでした。

ミッドサマー、ヘレディタリーとヒット作を生み出した今だからこそ、本当にやりたいことを詰め込んだものを世に出せたのではないかと。
ある意味この作品で、アリアスターの作品を本当に好きなのかどうかがハッキリとわかるような気がして楽しみにしていました。

そして私はやはりアリアスターの作品が好きだと思いました。
明確には「好き」とは言い難い作品ですが、「わかる」と言いたくなるというのが正しいかもしれません。

パートが大きく分けて4つに分かれていると思いますが、1のパートはまるで自分を見ているようでした。
ありもしないことに怯え、不安になり、パニックになる。寝坊して飛び起きたときのあの効果音と言ったら…(他に誰があんな恐ろしい効果音をつけるんでしょう)

個人的には、2の医者に引き取られてからのパートが辛かったです。
お母さんや元軍隊?もそうですが、特にあの子どもですね。あの子も被害者だと思いますが、常に大声で捲し立ててくる感じが本当に不快でした。筋が通っていないというか、話が通じないというか……
人によって必ず何かしらの不快感を感じる場面やパートがあると思います。

そして演劇を見ながら絵本のような世界に入っていく3のパート。あれはボーが演劇を見ながら妄想の世界に入っていくという感じかなと。
ちょっと長いなと思いつつ、自分も映画などを見ながら、気づけば過去に思いを馳せて心ここに在らずになるので、まぁこれもまたわかってしまうなと思いました。
妄想を進めていくにつれ矛盾が生じて、自分でもあれ?となって現実に引き戻される感じがリアルすぎて…

パート4では全貌が明らかに。
ボーの実家が思ったよりも大豪邸で驚きました。そうでなきゃ監視や根回しなどできなかったのかもしれませんが、一気に身近ではない話に思えました。
そしてボー自体にも家族のカルマが。思ったより大きな話のようで、問題は至ってシンプルでしたね。

最後のボーが裁かれるシーンはミッドサマーを思わせます。
映画館に座っている観客たちも、あの会場に座って見ているのではないかと思わせられる構図が見事でした。(逆に映像の観客たちと一緒に席を立ちたくなりました)

3作を見て、アリアスターは大分生きづらく育ってきたのかなと。それがわかってしまうのと、映像や曲の総合的な美的センスは好きなので結果「好き」だなと思いました。
(違う映画の話ですみませんが、カラーパープルという映画の方がずっと怖かったです。感覚が違う、というほうが怖いのだなと思いました)

人間は見下す生き物ですし、何を言うかじゃなくて誰が言うかのほうが大事。一度見下した人間の言うことなんてまともに取り合わなくなります。
これはボーが特別なのではなく、一般社会で日常的に起こっていることですね。

ということで、個人的には色々と考えさせられる映画でした。
これからもアリアスターの作品は鑑賞していきたいと思います。
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