ハレルヤ

ボーはおそれているのハレルヤのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.8
精神に病を抱えている中年男性のボー。ある日母親が死亡したという知らせを受けて、帰省しようとするも想像を絶する体験をする様子を描いたスリラー映画。

「ミッドサマー」のアリ・アスター監督、名実共に名優で近年でも「ジョーカー」で驚異的な演技を見せたホアキン・フェニックス主演。癖が強すぎて、まさしく「混ぜるな危険」の2人が混ざってしまった本作。そりゃ興味津々になる話。いざ鑑賞してみたらそれはそれはもう大変な内容に。

オープニングから「あ、これもうヤバい」と脊髄反射で感じてしまうシーン。そこからの3時間は他の監督やキャストでは再現不可能と思えるほどの奇想天外な仕上がりでした。

先ほど見終わったばかりでこのレビューを書いていますが、整理するのが困難で一度見ただけでは全てを理解しきれません。考察出来るところだらけ。

物語の本筋は帰省。普通ならロードムービー的な映画を想像しますが、この映画だとそうはいかない。謎が謎を呼ぶスリラー映画らしさもあれば、この世の終わりなディストピア映画だったり、あくまで個人的なイメージですが「八つ墓村」「スターシップ・トゥルーパーズ」「トゥルーマン・ショー」のような印象もありました。とにかく凄まじく作品のカラーが変わる。

慌ただしいように見えて、静寂と混乱のメリハリがしっかりしているのもアリ・アスター監督らしさが出ているもの。この混沌の終着点はどうなるのか、3時間目が離せませんでしたね。

その狂気の世界の中心にいるボーを演じたホアキンの演技も予想通りの凄さ。根は真面目だけど精神を病んでいるせいで、身の周りが異次元に感じてしまう。そして母親の幻影に惑わされる。彼と共に体感する旅は見ている側もずっと不安になるし、何がどうなっているのか、それをずっと考えているものでした。

「家族」がテーマにあり、劇中でも様々な家族が登場します。親から子へ、子から親への愛情。支配する者される者。血の繋がりについてだったり、様々な考えが頭を過ぎりました。

そして迎えた結末はしばし呆然となりましたね。エンドクレジットでも放心状態。賛否は確実に分かれる作品。また見直してみたい気持ちもありますが、これをまた3時間はちょっとしんどい気が…笑
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