くりふ

ボーはおそれているのくりふのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.0
【眼鏡をかけて眼鏡を探し疲れる】

迷ったが、この監督新作なら見ておこうと行ってきた。

…途中で飽きた。

例えば、眼鏡をかけているのに眼鏡を探してしまうことって稀にwあるが、気づかないその人を少し眺める程度なら笑えるし、教えてあげれば済むことだ。

が、その人が1日中延々探し続け、それを延々見るだけとなれば拷問に変わる。…そんな映画だった。

あるのは眼鏡を探すという行為だけ。それは表現ではなく、もちろん人生の意味が込められているわけでもない。“徒労”というコトバが浮かぶ程度だ。

それでも三時間付き合えたのは、ホアキンのおかげ。彼って元々、虐めたくなる可愛らしさを秘めている。w で、上記の例でいえば、眼鏡の探し方で様々な芸を見せてくれるからね。流石だとおもう。

また時には“寄れば悲劇、引けば喜劇”が感じられて、心が動かされるところもあるにはあった。

とはいえ単調だから。元凶は母親設定かと。絵に描いたようなテリブル・マザー一択。女性はグレート・マザーの要素も抱えており、その二極間の葛藤から人物造形が豊かになるのでしょう?…単純に言えば。

で、元凶を育てた父ちゃんがさ…はぁ。ホクト社へのネガキャンかと思ったわ!アレきのこ組の裏キャラですか?アクション的には、スターシップ・トゥルーパーズっぽくてワクワクしたけどネ゙!www

この監督が底意地悪いのはわかるが、今回は妙な使命感に目覚めてないか?世の砂糖菓子エンタメにタバスコぶっかけバランス取るぞみたいな。

確かにこれもエンタメ。他人事で愉しめるから。例えば難病モノと比べると判り易いが、難病当事者じゃないから泣けるんでしょ。当事者なら闘病で頭いっぱい、作り事で泣く余裕なんてない。それと同じで、他人事だからこそ娯楽で済んでいる。監督もわかった上で、しれっとタバスコ道に邁進してるんだよね。

他にも共感できないのは、この監督は自分と、せいぜい胸中の家族くらいしか考えずに映画を作っているらしいこと。それならそれで、おもしろい独り言を呟いてくれよと思うけどね。

真面目に付き合ってウダウダ解釈しても、自分にも世にも役に立たない。次回作は要注意だな。

稀有な個性の活かし方には、やっぱり今後も要注意と思うけれど。

<2024.2.27記>
くりふ

くりふ