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ボーはおそれているのMoetのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.5
地獄の帰省映画。ボーがただただおかしくなっちゃってるだけだって思えば全部辻褄が合う気がするんだけど、でもそれだけで片付けたくないし、そうではないと思う。
自分が将来(なれるのであれば)母という存在になる人間だということを頭の片隅に置きながら観るとゾッとする。母は子供に呪いをかけることができる。

アリ・アスターって自分の負の経験を全て映画の中でフィクションにすることで無かったことにしているのかな、それともただただ「この嫌な記憶って映画のネタになるな〜」と映画に魂を売ることで人間として一個上のフェーズに行っちゃってるのかな?というか監督本人って母親との関係性どんな感じなんだろう、これで普通に仲が良かったら怖すぎる。
なんであれ3作目でこれって末恐ろしいし、このバイブス保ったままずっと映画撮って欲しいとすら思う。

ヘレディタリーもミッドサマーも謎のカタルシスに包まれて終映という感じだけど、今作はそうだとは思えなくて、エンドロール観てる間かなりフラストレーション溜まった。でもボーが胎内回帰できたって思えばアリ・アスター流ハッピーエンドなのか、でもそれって本当に彼にとってのハッピーエンドなのだろうか?じゃ、ボーの望みって一体何なのか?ボーにあまりに主体性がないから、全然わからないんだ。
考え続けていると気がへんになりそう。
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