じゅん

ボーはおそれているのじゅんのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

【母宅のポスターについて】

母宅のモザイクアート(従業員で構成されたポスター)に街にいた精神異常者が載っている。
このシーンから
精神異常者になりすました従業員がボーを追い込んでいたことが分かるが、このトリックは日本人には難しいと感じた。


例えば邦画版ボーが上映されたとして
全身入れ墨ピアスだらけの窪塚洋介が登場したとする。
後にポスターに窪塚洋介が載っていた場合「街にいた精神異常者に従業員が紛れこんでいたんだ!」と一瞬で理解できるが、それは日本人であるからこそ通じるトリックなのである。

違う国籍の人から見れば
知らない俳優がスキンヘッドにして、入れ墨・ピアス・カラコンまでされたら同一人物と気づくのはほぼ不可能である。


そのためポスターを見た瞬間、街の回想シーンを入れると理解が深まるよう感じた。
※邦画のようなダサい演出になってしまうかもしれないが...







【屋根裏へ監禁されたもう一人のボー】

もう一人のボーについて、双子や兄弟説があるが、あれはボーの心の中に居た『母へ反抗するボー』であると考える。
(屋根裏=心の奥。父に対する疑問や性衝動を心の奥に閉じ込めた。)
(屋根裏で見た父らしき人物と男性器の怪物はボーのトラウマを投影したものであり、実際に存在したものではない。)

①父らしき人物
森で出会った父の世話役の発言や
母の発言から父が生きていることを確信。
心の奥(屋根裏)に閉じこめていた父と対面したが、その姿は世話役から聞いたものが投影されていた。
※父が現時点でも生存していて、監禁されているのかは不明。

②男性器の怪物
まずボーの精子には何らかの菌があると考えられる。
・避妊具が破れた際相手が亡くなった
・睾丸が大きく腫れ上がっている
・母が性行をしないよう嘘を吹き込む
このことからボーは自分がなぜ性衝動を抑えられてきたのかを把握した。
自分を苦しめていた性器を具現化したものがあの怪物である。







【妄想と現実の狭間】

妄想と現実が分からないと感じる視聴者が多くいるが、自分は以下のよう考えた。

①街(現実)
妄想のように描かれるが、実際には母が仕組んだ環境であり現実。
精神病患者になりすました従業員と
本物の精神病患者がボーを追い込むことで「独り立ちすることの危険さ」を植え付け帰省させようとした。
※本物の精神病患者が鍵を盗むというイレギュラーによって今回の騒動に発展した。

②医者宅(現実)
医者(従業員)によって、保護されるがボーを取り逃がしてしまう。
クスリにてトリップする使用するシーンがあり判断が難しくなるが現実である。

③森の演劇団(現実)
精神病・薬から逃れた人間達がいる森。ここでは視聴者を巻き込み現実と妄想が混在するように長回しな演出となっているが現実である。

④母宅(現実)
自分のトラウマに直面することで、突発的に母を殺害してしまう。
トラウマと直面するシーンに想像が多用されるため判断が難しくなるが現実である。

⑤海(妄想)
母を殺害してしまったことで、自責の念にかられたボーが自らの罪を清算し自死を選ぶ。
以下の要素から妄想であると考える。
・海=生命の起源の隠喩
・突如現れた洞窟=子宮の隠喩
・大掛かりなアリーナ=建造不可であり妄想。
・数々の罪=ボー自身しか知り得ないものであり妄想。
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