Kyasarin

茜色に焼かれるのKyasarinのネタバレレビュー・内容・結末

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

渋谷伝承ホールでの最速試写会。
コロナ禍、緊急事態宣言中での試写会は初めて。当初中止の案内が来ていたが、急遽人数制限のあるホールでの開催がギリギリで通知。有難いです。判断有難う御座います。
私は尾野真千子が好きです。ファンになって10年くらいですかね。ずーっと彼女の作品を追い続けて映画初日舞台挨拶もほぼ行きました。(いや、マウントではなく、それを踏まえた感想なので偏りが若干あると思います、ということです。これをTwitterで言ったらマウント取りやがってみたいなこと言われたんで。言葉不足ですねハイハイ)好きは好きだけど、余計なフィルターかけずに単に映画好きとしての感想も入り交じっております。よろしくお願いいたします。
彼女の主演映画が制作されると聞いて、石井監督だと聞いて、共演の方々も聞いて、楽しみにしてましたよ、本当。石井監督は、川の底からこんにちはが好きです。一番新しい作品で私が拝見したのは「生きちゃった」でした。そちらも初日舞台挨拶拝見して監督のお話も聞くことが出来ました。(若葉竜也くんと大賀目当てなところもあった)生きちゃった、の内容からきっとこんな感じかな??と言う想像はあったけど、実を言うと序盤部分、田中良子の身の上に起こることや彼女の性格がイマイチ掴めないところがあった(それは息子も劇中で語っている)もしや多重人格?とか思っちゃったり。後から思うとわざと監督はそういう描写にしたのかなと。考えを巡らせながら鑑賞してた。序盤、「田中良子は芝居が得意だ!」のテロップから始まり元夫オダジョーの事故シーンリアル、ニュースの再現VTRみたいな表現斬新(池袋の事故を彷彿とさせる)金額の掲示、タイトルの出し方タイミング、が印象的。そして何よりマスクをしてる人が多い映画は初めてだと言うこと。マスクしてるけど人と会う時わざとマスク外したりマスクの表面めっちゃ触ってるのが気になったけど、まあそこは映画だから仕方ない。マスク側からの視線の撮り方、フェイスシールド、リモート面会、アルコールに「コロナ」て名前も出すし「伝染る、うつりたくない」て普通に台詞でも言ってる。それはとても斬新と言うか今だからこそ作る事が出来た映画なのかなと。印象的だったのはアクリル板から間接的に相手の表情を映す技法。コロナ禍だからこその表現の仕方だなと思った。序盤の尾野真千子の芝居も、まるで芝居をわざと芝居しているような淡々とした喋り方。え?どうした??とか思いつつ、受け流す感じだな〜、親子なのに感情が無だけど大丈夫??て思ったけど料理(豚バラトマト串刺し←これも色は茜色?)を作る時の涙で、ああこれは堪えている人やアレだなってのが分かった。そして中盤から芝居がガラリと変わる。死んだ夫の本を読んでいる最中にメモ書きを見つけたところから本格的に物語のスイッチが入った様に感じた。理不尽が理不尽を重ね、そんなにてんこ盛り〜??て言いたくなるほどに酷い状況。ある意味映画だからこそ詰め込める事柄なのかもな〜。いやてんこ盛りやろ!!!てか!そもそも夫が元凶なのではwww野菜マシマシニンニクマシや!二回出てくる居酒屋のシーンがとても良い。7年酒飲んでない、て言ってじゃあ行きましょう!て誘うケイも良い。私もケイならそう言うわ(笑)すぐ惚れやすいオトン譲りの純平も真っ直ぐでかわいいし帰り道、親子で肩組んで帰るのも良い。良い息子じゃん!!ワナワナ震える尾野真千子、とても良い。貧乏ゆすりは親譲りだったんだね。耐えて耐えて、爆発しそうなギリギリなところ、表現力よ。葬式な〜、つらいよな〜。そりゃあ比較しちゃうよね。笑い泣きするところも上手い。
おいおい純平チャリンコ、乗れないんか〜い(笑)オトンみたいにさあ〜、事故起こしたらどうしようってヒヤヒヤしてしまった。そもそも、なんでいじめっ子達はそこまで純平を標的にするのか、理不尽にも程がある(でもイジメってそんな感じなのかな?いやそれにしてもやり過ぎやろ言いがかり付けすぎやろ!ww)学校の先生(まさかの泉澤くん、2回目はコミカルな面談だったけど。)もなんだかだったし花屋の店長(笠原さんよ〜w)も上から色々言われてピリピリしてて大変なのは分かるけどさあ、無茶だろパワハラだろ(笑)わかりやすいだろ(笑)いじめっ子、家に来るのはアカン!!火はアカン!!やりすぎ!!そもそも本を焼くとか有り得ん!!!なにがあっても怒ったりしないのね、良子。
「まあ、頑張りましょう」で済ませる。それは宗教というか、自分自身を落ち着かせるいわば呪文のようなものなのだろう。夫のバンド仲間たちもTheオトコって感じで。てか!出て来る男みんな嫌な男じゃない??てか胸糞やりたいだけ男もいじめっ子も花屋の店長も嫌な役上手すぎんか(笑)良い人息子と風俗の店長くらいじゃん。バンド仲間の「飲んだらヤバいぞ!ヤバい女優だったからな!」の言葉が後半に効いてくる。「どの国に行っても男は変わらない」たしかに。
てか純平くん、電話番号でシコれるの凄いw床オナまじウケるw私もそんな日が来るのだろうか、目撃する日が(友達は見た事あるっていってたw)麦茶ごと飲むのかわいいゾ!てかケイのお家なんで知ってたの??wと思ったらちゃんと電話で住所教えてくださいて言ってたね?
元同級生との出会いはたまたま??まさかわざと騙すために近寄って来た??とか思う程に偶然じゃない??
ぶりっ子良子ウケるw 「わからへん(ニコッ)」じゃねぇよwww
全て芝居として演じてるのね、自分を。
最初良子の性格が全く掴めなかったけどここへ来て分かってきた気がする。理不尽な事をお芝居で誤魔化すというか、発散させる。風俗嬢の時は風俗嬢を演じる。(てか風俗時給3000円て安すぎない?だったらスナックで働いた方が良いよ!熟女キャバクラとか。そんな安いもんなの??)好きな人と居る時はかわいい女を演じる。一瞬多重人格?とか思ったけれど、芝居で変えてたのね。なるほど。そう思ったら腑に落ちた。良子は真面目で、言わなくても良いことを好きな人に言ったり、パート先で食ってかかったり、虫すら殺せない、花すら棄てられない、(死ぬのを見るのがイヤだから??)し実直なんだなって。でも段々良子は自分自身芝居に芝居を重ね、段々自分の事が分からなくなってきてしまう。分からなくなってしまった時に決定的な出来事が…!!!人はさ、泣いて発散させた方が良いよ。誰かに聞いてもらった方がいい。
これはTwitterにも書いたけど、やっぱり尾野真千子はですね、感情を徐々に高めて行く、段々と感情が溢れて行く表情が抜群に巧い訳ですよ、そして「怒り」 怒らせたら最高な女優さんですよ、右に出るもの居ないんじゃないか。尾野真千子の「おい!!」を観に映画観に行っても良いくらいですよ。キタキタ!て思ったw 綺麗だけがウリの女優には絶対にできないやつだし演じることはなんて出来ないよね。私が好きな役者さんに共通するのは「人間の本質的、汚い裏側まで確実に演じられる役者さん」なんですよ。泥臭ささを演じられる人は強いしこれからもずっと見続けたいと思える。観たかった尾野真千子が観れて良かった。そこが居酒屋のシーン。
終盤になってくるともうね、ホラー?サスペンスですよ(笑)中盤から終盤にかけてがとても好き。どんどん田中良子さんエンジンかかってくる。仕舞いにはみんな応援しちゃう。ボッコボコにしてやるとこ声出して笑っちゃった。純平の飛び蹴り美しい。ケイちゃんが殴って風俗店長応援するとこ笑っちゃった(笑)リアルで今まで来たのに良い意味であそこだけ雑でそれはそれで気の抜け方が好き(笑)
石井監督は実力派の役者さんの泣きをアップで撮るのが好きなのかな。とっても見応えあった。生きちゃったの時もそれは感じた。ラストの舞台、あれフルで見せてくださいってくらいに好きです。(笑)尾野真千子舞台似合うなあ(笑)女豹ってwww
あの意味不明さが石井監督なんだろうなぁ。
「茜色に焼かれる」の意味は何個かあるんだろうね。「焼かれる」て受動だから、いじめっ子からの火でもあるし、お葬式の表現力でもあるし、ケイの骨が焼かれる意味でもあるし、そのバックは茜色の空、恋焦がれる、チャリンコも赤だった、、など色々捉えることが出来る。そして、劇中にも茜色(赤色)がたくさん登場する。オダジョーの髪色、血の色、食卓のタッパー、部屋の間接照明、良子の茶碗、熊木のハンカチ、弁護士と話す時のカフェのポスター、勝負下着などなど。それを探すのも楽しいかも。

コロナ禍で嫌なことばっかりだけど、そんな中みんなピリピリして色々あるけど、頑張りましょ、てことなのかな。「まぁ、頑張りましょう」と何度も言ってきたことがそろそろ飽きた頃に最後に効いてくる。

良い息子だよ、本当良い息子。
あの息子が居たらお金無くてもどんなにつらくても頑張ることが出来るよ良子さん。
どちらかと言えばケイちゃんの方が壮絶かもしれぬ。ケイちゃんの言っていた「そんなことある??て言う事がいつも私の人生には、あるんです」が印象的だったよ。良子は幸せな時期もあった訳で。ケイちゃんのオトンもどうせなら、フルボッコにして欲しかったわ。私ならする。

好きなシーン
最初のご飯のシーンめっちゃ真千子ご飯大口で食べるところ
ケイちゃんと歯磨き
命日飲み会にて、やたらカンパーイ!の声が大きな尾野真千子(笑)
なんで人は無理やり生きるのかと聞かれて無理やり笑顔作って笑うところ←ꫛꫀꪝ✧‧˚
2回目の面談で純平褒められた時の顔!
神社(滑って転ぶところw)
居酒屋×2
熊木とのホテルのシーン←ꫛꫀꪝ✧‧˚
フルボッコ(飛び蹴り、グーで殴る、階段で滑る)
チャリパクって律儀に返す
みんなで牛丼
ラストの女豹(これは外せない)
ケイちゃんが焼かれてる時の話
でもな〜、ケイちゃんはラストああなって欲しくはなかったかなあ…かなしい。石井監督、生きちゃったでも唐突に人が亡くなってしまったよね。ケイちゃんジミヘンになりたかったのかな…27歳…

(純平の学校の教室に「自分の命を大切にしよう」て書いてあったんだよね…)でもコロナ禍で自殺しちゃった人も多いからそれも象徴していたのかな、、

ケイのお葬式も弱者は最期まで、死んでからも弱者なのかと、それを象徴しているようで、しかも極めつけに性虐待してた当事者のオトンが「ケイコは幸せだったと思います…」みたいに言うのもオイオイお前が言うなや…て空気になるのもまたあれよな…

中盤にて、店長が「なんでつらいのに無理やり生きるのよ」みたいなこと言ってたけど、そこで良子とケイの運命が変わったのかもしれないな… 良子は生きる道を選び、ケイは死ぬ道を選んだ。良子は良い神様を模索し、ケイは悪い神様に取り憑かれた。私はそう解釈した。
あと映画的にケイが亡くならないとタイトルの焼かれるにならないもんなあとか思ったり。
あとお金も手に入らないもんねえ…
ケイと純平の未来も観たかったよ…
ケイと純平パート、微笑ましくて初々しくて好きだよ…

ムスッコ、あれだけケイちゃん最愛の人だったのにさ、意外と亡くなったら結構あっけらかんとしてたな(笑)

ラスト、2ケツチャリで夕焼け、もしやCG?やたらそれっぽいなと思いながら観てたら「母ちゃん!大好きだ!!」お?そこでか!?石井監督なりの亡くなった実母へのラブレターとなって物語を〆る感じでした。

石井監督の3月のインタビューにて「茜色」とは不安定で精神的な色を現して居ると思う。と仰っていて「負けそうだ、だけど中々夜にならない」という台詞には底辺に居るけどギリギリの世界を生きているふたり。と言う状態をくれなずむ夕日と重ねているのかなども思ったり。

あと、細かいところになってしまうけど理不尽に思える出来事の起こり方が自然では無くステレオタイプと言うか、邦画でウケるヤバめな話をてんこ盛りにすればつらいつらいになって良いんじゃね??的な意図が見えちゃって個人的にだけど不自然に感じるところがあった。脚本の筋が途中から方向変換して(今まで社会に怒って居たのに最後は母子の愛でまとめさせた感)まあ上映時間も長いし(長い割には全然飽きなくて時間経つのが早かったけれど)最後上手くまとめるには希望を持たせる終わらせ方にしたんだろうけど、もうひとひねり欲しかったかな。ケイちゃんがお金をくれたところはそのお金は貰うんや!て思ったけども。監督が7歳の頃に亡くなった享年37歳だった母を思い出しながら作った、みたいな事を言ってたけどてんこ盛りお母さんやん(笑)男性目線の典型的女性感だなと思った。生きちゃった、もそうだけど女性が即尺するシーン好きなのかな?性癖なのかな?て思った。熊木が良子に「家族になっちゃったから刺激がない」て言うのは監督の実生活のことじゃないことを祈ります(笑)マジで(笑)

監督インタビューを読むと2020年6月にはまだ決まってなくて、夏に企画、撮影始めたという事なのでそこから一年弱で公開ってのはすごいなと。どうしてもコロナ禍のうちにコロナ禍の映画を撮って世に出したかったのが分かる。だから話の繋がりはまあ仕方ないのかな、とも思った。その代わり、演者がとても上手いのでカバー出来ていたと思う。あと最初みた時は会話がイマイチ噛み合ってないな?と思うところが多々あって、でも何度も見ていくにつれてそれは純平の文学少年ゆえ、良子のちょっと変わったところを出す為、ケイのアタマの足りない女の子感出すためにわざとやってるのかな?とか思えてきたから不思議。

filmarksでは刺さる人と刺さらなかった人の差が激しいようで、感想観ていて面白い。賛否両論あるのは良い事だと思います。

どなたかが書いてたけど、特に、「無意識に芝居をしてしまう主人公が本心を中々表すことが出来ずにいたが、芝居を通して本心を表現」という文章には納得した。この一言に尽きる。これが言いたかったのかも。なるほど。

尾野真千子さん、ちゃんと歳を重ねて良いお母ちゃん役、おばさんになってたなぁ(姿格好)
もっともっと、これからたくさん見続けたいなあと思わせてくれる役者さんです。喜怒哀楽も別人のように演じることも出来るし潔く脱ぐ。(でも久しぶりに乳首見たなあ笑)これから、ひとつの括りだけじゃなく(最近は母親役が多いけど)色々幅の広い役をして欲しいなと思う。劇中の熱演から舞台も映えると思うけど、御本人、舞台はやらないと仰ってるんだよなぁ〜
とにかく、ずっと彼女のペースでお仕事して行って欲しい、これからもずっと見続けたい役者さんのひとりです。


てか、花屋のパワハラ受けたあと施設のリモート面会、命日のセクハラ飲み会、が同じ日に起こったこと。

花屋に廃棄する花をパクる、パクったチャリ返す、ケイのお葬式、も同じ日に起こったこと。

なかなかハードな一日を過ごしている良子さんだなと思った(笑)

息子役の和田庵くん、ケイ役の片山友希さんも良かった。片山さん要チェックだね!とても素晴らしかったです。ケイには感情移入しっばなしだった。おふたりとも元々お上手なのかもしれないけれど、尾野真千子さんの芝居につられて化学反応起きてバチバチとても良い結果になっている。役者で説得力が出ることもあると思う。
オダジョーと永瀬さんは勿論の事、花屋店長の笠原さん、担任の泉澤くん、シンママに前田亜季さん、良いチョイス〜!

今の時代、コロナ禍だからこそ、共感出来るシーンも多いだろうし、延期しなかった理由もそこだと思う。今見るから意味があるのかもしれない。

純平の事を褒められた時のシーンで気づいたんだけど良子、左手の薬指に指輪してるのよね、7年経ってもなお、夫をやっぱり愛しているから指輪してるんだろうし、賠償金は頑なに受け取らなかったし、生命力は愛する夫との子どもが居るから生きるんだよね。

ケイがお店の裏の階段で発したセリフ「舐めろ舐めろ言われて…」でやっと気付いた。いつも舐めて居る方の輩達は私達を「ナメている」 この物語は「舐める方の人生」が「舐められる方の人生」と世間と行政に対して「ナメンナヨ!!💢」って代わりにキレてくれる映画なんだと腑に落ちた。

純平がケイを乗せる為に頑張って磨いた自転車の後ろに自分が乗ることとなるとは…
「母ちゃんを守るついでにケイさんも守る」は「母ちゃんが君を守る」に変わったのかもしれないなと思った。。

石井監督は陽を描くのが上手い監督さんだと勝手に思っているんだけど陰ばかりの世の中にある陽が際立つ様になっている。トップのトップを目指す事を決めた純平の話を教師から聞いた時の尾野真千子の顔よ!?あの顔を出来るのは母親役のプロの尾野真千子と石井監督にか撮れないと思う。
そしてこれは純平と母ちゃんの壮大なラブストーリーじゃん!!


あと無性に牛丼が食べたくなる映画だった。牛丼食べたくなる映画と言えば、モテキの麻生久美子さんと箱入り息子の恋の星野源ちゃん。それに茜色に焼かれるも追加。
あと夫が浮気して外で子ども作って、そのモヤモヤを芝居で昇華してゆくさま、どこかで最近見たことあるなあと思ってたらアレだアレ!朝ドラ おちょやん じゃん!

そして、エンディングの歌がめちゃくちゃ良い。歌詞にあった「生まれなかった望み」ってあの子のことじゃん…エーン!


20日の舞台挨拶で石井監督の熱い気持ちを聞けてとても良かった。
5月21日にはたくさんの映画公開があるので、舞台挨拶話題にもしかしたらならないかなと思ったけど前夜に舞台挨拶をして正解だったかもね!!ヒットすることを願ってはやみません。



5月15日に書きましたが修正入れるかもしれません。
(5月20日に公開前夜舞台挨拶でも拝見したのでまた出直してます)

5/27 3回目鑑賞。
みなさんの感想、批評見てから観るとまた全然違った。これはスルメ映画かもしれない…

5/29 ユーロスペースにて
石井監督と尾野真千子さん上映後、上映前トークショー参加

監督の話や主演の話をじっくり聞いて、トータル5回目観た感想また変わってきた。
何度か観ると、最初の感想とまた違った見え方がするし、細かい伏線がたくさん散りばめられていて、あー!そこに繋がるのか!と新たな発見がたくさんあった。

ここからはメイキングの裏話を少し

終盤の渋谷の街で良子がひとり自転車漕ぐシーン、カゴに大きなカメラ載せてママチャリで漕ぐの恥ずかしかったと。しかもどかない奴が居て腹立ったらしい(笑)

最後の女豹のシーン、あそこがないと私は石井監督作品じゃねえ!と思っている人間なのでその話を聞けてめちゃめちゃ嬉しかったんだけど、音声さん、照明さん、全てが良いものを作ろうとして真面目にやったから真千子腰に小ヒョウ付けながら全身ヒョウ柄で明らかにおかしいけどみんなの想いが凄いから悩みながら頑張ってやった、と。本当にあのシーンは悩んだと。いや、とてもとても良かったですよ(笑)店長の真面目なカメラワークも地味に笑いを誘ってたし(笑)

あと、「分からへん(ぶりっ子)」のところ(笑)久しぶりにぶりっ子出来るの嬉しかったと。監督は、良子は元凄い女優ということで、電灯をポールダンスのポールに見立てて演出したが、尾野さんがやり過ぎて擦り過ぎておかしくなってNGが出てしまったと(笑)それはそれで見たかった(笑)

神社のシーン、撮る時間がタイトな中感情が高まってやらなくても良いようなビンタや蹴りをアドリブで尾野さんが入れて来て、それが逆に面白くて、特に階段から滑って転ぶところは本来NGのシーンだったものを使った(笑)階段の下から見るとおパンティ(おパンティって言ってた真千子の言い方よw)が見えそうで見えないのが逆に良かった。真千子、「あれ中が見えないように撮れてたの良かったよね!」て言ってた。
確かにあそこのシーン私も好きだな。尾野真千子らしさが出ていたと思う。

ホテルのシーン濡れ場と乳首で1.2回目はそればかり目が行ったがそれが見せたいんじゃない。微かに良子は身体が震えている。自分自身を初めて告白しようとして震えた後事実を知り瞳を開けたまま大粒の涙が落ちる。流れるのでは無く落ちる。そして固まってしまう。良子のベールが剥がれ(シーツ)本心がむき出しになる瞬間だなと思った。

尾野真千子さんは熊木に対してクッッソムカつく!腹立って仕方なかったらしい(笑)花屋の上司も腹立ったけどもね!(笑)て言ってた(笑)

死んだ夫は神様を信じる事で自分の心が露わになる事を望んでいた。最低最悪な神様はそこら辺に蔓延って居て、こびり付く。頑張って探せば良い神様に出逢う事が出来る。お芝居だけが田中良子の真実である。それが答えだ。(だからラストのシーンは神社なのかな?と思ったり。)


なぜ生きるのか、苦しくともなぜ生きるのか。虫ケラとルールの話。
ルールは確かに守らなければならないが必ずしもそうとは限らない。自分自身を守る為ならばルールを破ることもアリなのである。
生きる意味などあるのか。
今マスクしてるけどそれは果たして意味があるのか。←この言葉は刺さる

そうよな。
尾野さん「撮って出演して公開して終わりじゃない、何年経っても(映画の中では私は若いし)作品も成長して行く」いやそれ分かる。観る回数毎に感想変わるしこれがまた数年後、マスクを外した世界に戻った時にどう自分が感じられるかがとても楽しみである。


「つらくても、僕らが生きる意味とはなんぞや」て話なんだなぁ〜
…うむ、、まさに哲学。

石井監督が尾野真千子さんの事を崇高な存在の人。尊い何かを放っている。撮っていて、自分が生まれて来てよかったと思える。と仰って居たのを聞いて全俺がスタオベして花吹雪が舞った。そ!れ!な!!それ、いつも私が思っていること!な!の!!!!ありがとう!!!


石井監督

今の時期に公開すること、世に出すことが正しいかどうかは分からない。こうするしかない。映画作りを信じる。自分自身で責任を取りながら行動するしかないと思う。と石井監督。
確かにそうだよ。そうなんだよなぁ。でもこの世に与える影響は確実にある映画だと思いますよ。

追記。
コメント欄にて、5/29ユーロスペース
尾野真千子さんと石井裕也監督のトークショー上映後、上映前2回レポ載せてます。大体のニュアンスですが…
Kyasarin

Kyasarin