やはりの石井裕也監督。
観るのが苦しかった。目を背けたくなる描写もあったが逃げてはいけない気がした。
コロナ禍における生活や撮影の困難さを如実に反映させていた。
夫を事故で亡くしてシングルマザーになった妻と子。様々な壁にぶつかりながらも逞しく生きる親子。そしてやっぱり人間は1人では生きていけないということが痛いほどわかった。弱者を馬鹿にして何が楽しいのだろうか。
狂気を感じた尾野真千子。沸々と滾る女の情念。すごい女優だなと思った。息子役の和田庵という子役も新人とは思えない見事な演技だった。真っ直ぐなこの少年の葛藤も相当なもの。手持ちカメラの揺れも役者の心情の揺らぎを表しているようで効果的だったのではないか。クローズアップの多用も印象的だった。でも金額のテロップは不要だったような。
重たい内容に比例して茜色の空が美しかった。
生きるって我慢することなのかな。
2021年映画館鑑賞20本目。
