缶々

ホテルアイリスの缶々のネタバレレビュー・内容・結末

ホテルアイリス(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

可能性を残しているとはいっても、最後(最期)だけは見せて欲しくなかった。可能性に満ちた幻想が一気に死んだ。絶対的な一線があって、それを越してしまうと物語がフィックスされちゃう。

それでも素晴らしいと思えたのは此岸と彼岸を架ける売店の男がもたらす空間(リー・カンション)。ホテル・アイリスも潮満ちて消える島でもなく、あそこだけ生死が交わる異様な空気が流れている。
鬼月に線香を刺し、亡き父親と姿を重ねる情人との邂逅。良い!めっちゃいい!誰も喋らなくて最高。
習俗と交わっているが俯瞰すると、金門島という場所そのものが文化が混じり合って歪になったような不思議な魅力がある。物語で街は積極的に描かれないが、所々で現れるソレはどこか懐かしくも決して存在しないような土地として映る。この奇妙な違和感こそがラストへと繋がるのかもしれない。拘束された精神・肉体から放たれた理想の投影がための歪さがあった。
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