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アミューズメント・パークのMALPASOのレビュー・感想・評価

アミューズメント・パーク(1973年製作の映画)
3.5
映画『アミューズメント・パーク』

ジョージ・A・ロメロ監督幻となっていた映画。

ロメロ監督の妻の言葉からー
恐ろしい物語ですが、伝統的な意味でのホラー映画ではありません。ジョージの感性が入っていて、映画そのものではなく、題材が恐ろしいのです。
スザンヌ・デスロチャー・ロメロ
(ジョージ・A・ロメロ財団代表)

ルーテル教会が高齢者への虐待などに対する警鐘としてロメロ監督に依頼した企画。しかし、その過激さにルーテル教会が慄き封印され幻の映画となっていた。頼む人を間違えたってことだろうな。それを知ってから観ると俄然面白い!

主役の老人を演じるのは『マーティン』のリンカン・マーゼル。遊園地に訪れた白いスーツの老人が次々と酷い目に遭うというだけのストーリー。乗り物の乗車制限が「所得」。運転免許が必要な老人の運転するゴーカートが事故。少女に話しかけて変態扱い。パラレル・ワールドのような遊園地で展開する悲劇は現代社会の縮図。その後のロメロ作品に描かれる社会を風刺した表現のルーツを感じる。
ロメロは作品作りに多くの事件を参考にしたと語っているが、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のハンターは黒人をリンチにした白人たちを思わせ、最後は主人公の黒人の死体が肉の塊のような扱いを受ける。『ゾンビ』
ショッピング・モールという楽しい場所が悪夢に変わるという点もこの作品と同じ。パークで聴こえるのは『ゾンビ』のショッピング・パークで流れる陽気な音楽。

ホラーじゃないけどホラーになったロメロ監督初期の名作。
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