K

彼女が好きなものはのKのレビュー・感想・評価

彼女が好きなものは(2021年製作の映画)
3.2
「但し摩擦はゼロとする」。SNSのアイコンが実体化して登場する表現は珍しい。性的マイノリティに真摯に向き合っているように感じられた前半と、よく分からなくなった後半。当事者の方々は(その中でも意見は分かれるだろうけど)この描き方に、よくぞ言ってくれた!となるのだろうか。原作者さんが当事者ということを考えれば大きくは外れないのかもしれない。結末から遡って肉付けしたような展開。きっかけとなる行動をショッキングに撮る疑問。先生は何を考えているのか。結婚して子どものいる人生が幸せだと思っている主人公を前に黙り込む大人たち。同性ではなく異性を。心情吐露。あの場面で何も言えない親はあまりに寂しい。視野の狭さは若さゆえで説明がつくのかもしれない。幸福の定義が狭すぎてこちらまで息苦しかった。勝手に巻き込んでカムアウトする彼女が決定的な疑問点。本人が思っているほど周りは気にしていないし、周りが思っている以上に本人は気にしている。そんな感じの話。前田旺志郎くんの演技は相変わらず良かった。
K

K