⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のかすみすみすみかのネタバレレビュー・内容・結末

一言で言うと「こういうのでいいんだよ。こういうので」。

ただこのレベルの「こういうので」ってのは年一本くらいしか出会えない。よくよく思い返すと変に奇をてらったところはないはずなのに全ての完成度が恐ろしく高い。

「田舎の閉鎖的で闇の深い村って最高の舞台だよな！これだよこれ。やはり横溝正史は偉大だよな」という感じでわくわく始まり。
キャラクタもしっかりしていて不自然を感じず愛着湧く（さよちゃん後の吹っ切れの早さにはビビるけど尺かなと）。各キャラの交流も良くて墓場のお酒のとこは特に。きちんとキャラの哲学も上手く話と噛み合わせていてうまい。
話の展開も手堅く見やすくて、謎についても、不自然さがなくて上手い。細かい演出も重なって、緊張感を持って引き込まれた。
ひたすら人の業の深さと人間の尊厳破壊を重ねに重ねた地獄が本当地獄できちんとしてる。どこを切り取っても地獄しかない。軽めのタッチで紛れてるけどここまでの地獄のフルコース最近見てなかった。R-15でしょこれ……
あと村の全員きちんと殺して滅ぼしたのも良い。やっぱり因果な村の滅びはお約束だけどこのカタルシスはやはり良いもの。
奥さんのラストも語りすぎずで、すごく良かった。

序盤は横溝正史のノリでワクワクしながら村を楽しんで、中盤ではキャラクタの愛着を噛み締め、終盤は地獄ツアーフルコース。最高だと思う。

完成度が高く満足度もとても高いです。