時代背景やテーマが遠くない『ゴジラ－1.0』と比較される声も納得であちらの時代の描き方に不満な人はこちらも観てみると良いと思う。
目玉おやじが目玉になる前の話、そして鬼太郎はどう誕生したのかを描く本作。
鬼太郎シリーズは日曜の朝やってたアニメを少々観ていたのと深夜にやってた『墓場鬼太郎』の暗い雰囲気が好きで観ていた程度(今回U-NEXTで何話か見直したけどやはりあれは面白い！)
特に鬼太郎の知識なくても楽しめるというか何も知らない方がさらに楽しめるのではと思ったぐらい。
連続猟奇殺人事件の犯人は誰だ？というミステリー要素はあるけれど妖怪が絡んでくるのでそこを期待した人はつまらなく感じてしまうかもしれないが、主人公水木とゲゲ朗(若き目玉のおやじ)のバディものとして最高だったし何より鬼太郎という国民的なアニメを使ってこの重たいテーマを送り出したことは本当に意義があることだと思う。
弱者搾取主義の敵が胸糞韓国ノワールに出てくる奴ぐらい醜悪だったけど何も知らずにそいつが作った搾取の構図に加担してしまっている…というのは現実世界と通ずるものがありゾッとする。
最初意外にもテレビで観る鬼太郎じゃんと思ったらいきなり目玉おやじの語りから昭和31年へ…となったのはビックリしたし語り終わってまた現代に戻ってきた時に「おぉ…そうだった！」と思って急だなぁとか思ったりもした。
泣いてしまうという声を結構聞いていたけれどまさか映画が終わって劇場の照明が点いた時に涙がふけていない状態になるとは思っていなかったので焦った。
劇場で泣いた時はエンドロールでささっと涙ふいて鼻かんで劇場から出る頃には感情ゼロの顔に戻してからいつも帰っていたけどこれは無理だった。
タイトルの『鬼太郎誕生』という出し方はこれ以上無いくらい素晴らしかった。
