とうこ

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のとうこのネタバレレビュー・内容・結末

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

えー、しんど!
こうして墓場鬼太郎の第一話へつながるのね。
作中唯一ほっこりしたのは、つるべ火が水木の煙草に火を貸してくれたところです。

(以下、覚え書き。長文です)

ゲゲゲは子どもの頃にちらと見ただけで妖怪が怖くて仕方なかったのだけど、この映画もある意味怖い。人間が怖い。
気分が悪くなる因習の数々。醜い跡目争い、近親相姦、お船様を思い出す「M」製造工場のカラクリ。
内部爆発で一族郎党、村ごと消えるのはツケを払ったということで。沙代と同じく搾取されるばかりで逃げ出したかった人は他にもいたかも知れないけど、加担したなら同罪か。
ふとゾッとしたのが、もしかして時弥って孫じゃなく子だった…?未婚の子では外聞が悪いから長田が戸籍上の父になったとか。妻の死に一言も言及しないくせに、乙米(妻の姉)のことすごい大事そうに庇ってたし。なんか、長田って。なんか。隠しきれてないとこ嫌いじゃないが…。

水木、良い男だなあ。ビジュアルが好き。
戦後復興のサラリーマンで、強烈な反戦、野心があり、踏みつけられないよう力が欲しいと言う。
優しいなあと思ったのは、ゲゲ郎が目の前で痛めつけられたとき二度も庇ったことと、沙代の死に際して本気で悲しんでいたこと。殺されかけてからの「すまない…!」は本心でなきゃ出てこない。
斧でガイコツ叩き割って「ツケは払わなきゃなあ!」と言って笑顔でぶっ倒れるとこと、ゲゲ郎に「ほっとけお前が犠牲になる必要ないだろ!」(うろ覚え)と言ってくれたとこも好き。ゲゲ郎の妻にチャンチャンコ着せてあげてたとこも。

ゲゲ郎、人間にも妖怪にもわりと寛大だし親切だな。妻に感化されたんだろうけど、沙代嬢ちゃんの真剣な思いや時ちゃんの無念など、人間に対する洞察が深すぎない?過去には憎んでたという彼がここまで人間に愛情を持って接するのは妻の影響なのだなあ。妻のこと惚気まくってるの可愛い。
「我が子が生まれる世界、友の生きる未来を見たい」といった彼が、目玉だけになってこの世に残ったのは因果だなあ。

水木を相棒、友と呼ぶに至ったのは何だったのだろ。水木はそこまでの誠意を彼に示したっけ?
で改めて思い返すと、水木は沙代と東京へ帰ることもできたのに、ゲゲ郎を助けるために戻ったし、救出後さらにゲゲ郎の妻探しにも同行した。自分の目的は果たした後で、どちらも死の危険があったのに。なるほど、自分と自分の大事な人を命懸けで大事にしてもらったのだから、「友」と呼ぶのも納得。
あとは単純に、水木がゲゲ郎にとって好ましいタイプの人間族だったんだろうなと思う。人間に心底絶望してる人間、気になっちゃうよね。たぶん妻にも気に入られたと思う。妻、お隣さんへ手土産つきで引越しの挨拶にくるタイプ(墓場鬼太郎・第一話)の幽霊族だもの。絶対、水木と仲良くなっただろうに。

改めて、鬼太郎が誕生に際して背負ったものがでかすぎて、しんど…てなった。
とうこ

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