MasaichiYaguchi

HHH:侯孝賢 デジタルリマスター版のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.7
タイトルの「HHH」は、ホウ・シャオシェンの英語表記Hou Hsiao-Hsienからきているとのことだが、パーソナル・ショッパー」のフランスのオリビエ・アサイヤス監督が台湾ニューシネマの旗手ホウ・シャオシェンと共に、「童年往事 時の流れ」「冬冬の夏休み」「非情城市」「戯夢人生」「憂鬱な楽園」といったホウ監督作の映像と共に、作品にゆかりのある鳳山、九フン、金瓜石、平渓、台北を巡りながら、監督の人となりや映画人としての矜持を浮き彫りにしていく。
この素顔に迫ったドキュメンタリーでは、ホウ監督は勿論のこと、監督作の脚本を手がけてきたチュー・ティエンウェンら、共に台湾ニューシネマを牽引してきた映画人へのインタビューを中心に、監督の地元との知人、友人との再会まで交えて、その足跡を映し出す。
紹介されたホウ監督の足跡は、台湾映画界の足跡と重なり、更に言えば、戒厳令時代、その解除後、更に民主化運動等、台湾そのものの現代史ともリンクする。
このところ台湾が設定する防空識別圏に進入する中国軍機が増える中、アメリカ国務省の報道官が3日、中国に対し、台湾への圧力をかけないよう求める声明を発表したことがニュースになっていたが、台湾は中国とアメリカの板挟みになりながら、どうなっていくのか台湾映画と共に注視したい。