ShinichiAndo

そして僕は途方に暮れるのShinichiAndoのレビュー・感想・評価

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)
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どんなに遠くまで逃げたとしても、逃げている自分からは逃げられないと言うように、決して誰かに追われているわけではないのに、気まずそうに何度も後ろを振り返る藤ヶ谷太輔さんが印象的だった。彼が逃げていたものは、その“気まずさ”みたいなものだったのかもしれない。

主人公が映画研究会の出身という設定なんですが、いまの彼は映画を作りたいわけでも、たくさん映画を観ているわけでもない(冒頭シーンに「キネマ旬報」が映っていたけど…)。それでも、いつのまにか彼の人生そのものが、“映画的”な瞬間に彩られていくところが面白かった。

主演の藤ヶ谷太輔さん以外のキャストもみんな良かったんですが、最高の豊川悦司さんが最高のタイミングで最高の登場をするところが、まさに「面白くなってきやがった!」という感じで堪らなかった。映画では描かれなかった、この二人の日常をもっと観てみたい。

ちなみに、このポスターにも写っているTOHOシネマズ新宿で観たので、鑑賞後に徒歩1分でロケ地に行けるのも嬉しかったのですが、ビル壁面の看板が「ノマドランド」だったのは監督の意図的なものなのかな…
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