クリーム

ノーカントリーのクリームのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.1
1980年代のテキサスを舞台に偶然、大金を盗んでしまったモスと彼を執拗に追いかける殺し屋シガー、そして、彼等を追いかける主人公の保安官ベル。見所は、殺し屋アントン・シガー。類を見ない異常な殺しっぷりにずっと緊張感が走る。彼の武器であるサイレンサー付きのショットガンや、実際に家畜の屠畜に使用される銃には驚く。こんな、武器を使うのは、他で観た事がない。映画史上最も変な髪形で、変な武器を使う殺し屋。狙った相手を殺さないと気が済まない狂気に満ちた人物。この殺し屋を演じたハビエル・バルデムが素晴らしい。また、シガーとモスの攻防にばかり気を取られるが、主人公は、ベルなのだ。それが解っていないとラストが解けない。間違い無く凄い映画。




ネタバレ↓




『NO COUNTRY FOR OLD MAN』が原題で『老いた者たちのための国ではない』。ベルは冒頭から最近の犯罪は理解出来なくなって、どうしていいか分からないと言っている。つまりアメリカは老いた者たちには理解できない国になってしまったとシガーの事件を通して、ベルが感じた事がこの映画なのだと思う。
また、ラストの夢に父が出て来るのだが、金を亡くした夢は、父から受け継いだ警官魂みたいなモノを亡くしてしまった後ろめたさから見た夢。
もう一つの夢は、過酷な世界で絶望しそうになるが、先には必ず希望があると父親が示してくれている。それに向かって強く生き続けなければならないと感じた夢だったのではないかと思う。
結構、色々詰まってる作品で、何回観ても発見がありそうな作品である。
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