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ノーカントリーのyaaaのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.0
コーヒーの宇宙人が地球の凶悪事件を見て絶望する。
まるで超絶技巧の職人が的確に創ったハビエル・バルデムの鼻の穴が開いた彫刻を見せられているような感じ。彫刻なんでズッシリと重く強度なんだが、冷たい。

これまで、体温低く『ことの顛末』を描いてきたコーエン兄弟だが、その体温低すぎる感じが作り物感を漂わせていたが、今回は成功している。
描いている対象が人間でなく、運命とか突然の死だから。

前半の現金強奪はそれで十分楽しめるのだが、ようは客寄せのショーでしかない。後半の迫り来る闇を悟るキャラクターの退屈かもしれないシーンが続くところが、これをすっごい作品に仕立て上げている。はっきり言うとハードなテキサスアクションものを期待すると肩透かしを喰らうということや。
見終わった後もいろいろ思うことが多い作品なので、すぐ忘れる映画に比べたらコストパフォーマンスは高い。
テーマにしていることは、今更感はあるがそれを映画的に魅せることに集中しているので最高でっせ。

殺し屋の映画に本物の殺し屋の系譜・ウディ・ハレルソンをちよろっとまぶすあたりもうまいなぁ。
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