もりいゆうた

ノーカントリーのもりいゆうたのレビュー・感想・評価

ノーカントリー(2007年製作の映画)
4.5
スリラー好きにはたまらなかった!!!ずっと画面に釘付けで、よくできた映画はほんと読者の興味を掴んで離さない!

物語に「余白を残す」のお手本みたい作品で、難解なのに面白い。クリストファーノーラン監督の「メメント」とかみたいに難解だとたいてい面白くないのに、面白いのがほんとすごい。

見終えてすぐネットの解説を読んだ。「難解なメッセージを誰もがおもしろいと感じるような物語の中に完璧に落とし込んだ点がすごい」って書かれていて、そうそうそれそれ!!ってなった。見終えたばっかりだけど、もう一度見たい。

名作の「追跡劇」だと邦画で伊坂幸太郎原作の「ゴールデンスランバー」があるけど、これとはまた違った良さがあって良かった。2008年のアカデミー賞(作品賞)を受賞してるだけあるね。

初めてコーエン兄弟の映画見たけど大ファンになった。「ファーゴ」と「ブリッジオブスパイ」も見てみよっと!


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とにかくシガーがいいキャラしてる。

・マッシュルームカット
・橋で近くにいた鳥を打ち損ねるくらい銃が下手
・静かな殺し屋
・武器が家畜銃ピストル

他にも、殺し屋なのに血を避けたがっているような描写が多い。汚れるのが嫌?潔癖?

・ホテルで風呂桶に隠れたメキシコ人をカーテンで返り血を防いで殺す
・同じくホテルで血で汚れた靴下をすぐ脱ぐ
・カーソンを殺したあと床に流れてきた血をそっと避ける
・モスの妻を殺した後、靴の裏に血がついていないか気にする



他に気になったところを箇条書きにすると、

・静かな演出が緊張感を醸し出している。音楽がない!

・モスが急にさくっと死んでたのにも驚いた。この映画の主人公だと思ってたら、主人公は保安官のベルだった

・モスがホテルでシガーに襲われる直前のシーン。ドアの隙間から差す光と闇でシガーの存在を表現し緊張感を高めている(ここの描写いい!!)

・最後、殺し屋シガーが事故にあって大怪我を負うところがいいね。青信号をちゃんと守ってるのに。この演出素晴らしい。無茶苦茶な世界の不条理の象徴であるシガーすらも世界の一部である、現実は残酷で無慈悲だ、そう言っているような気がする(ここがこの映画のテーマ!)