るるびっち

ライダーズ・オブ・ジャスティスのるるびっちのレビュー・感想・評価

4.1
これは傷の話だ。
報復物語に見えて、実はそれぞれのキャラが心の傷を負っており、傷に対してどう向き合うかという話なのだ。
だから報復物語を予想した人は、人物の深掘りばかりにかまけて話が進まないことに退屈するかもしれない。

娘のボーイフレンドに、傷を乗り越えようとする時、職業的習慣と関わると指摘される。
妻の喪失を乗り越えられない男は、得意の暴力に頼るしかない。
生き方を変えられないし、職業的習慣でしか判断がつかないのだ。

一方片腕の不自由な学者も、娘の喪失を乗り越えることができない。
彼は出来事の規則性にこだわり、答えを求める
物事の規則性さえわかれば、悲劇を回避できると学者としての職業的見地で思い込んでいるのだ。
だが二人共、職業的習慣で身についた古いやり方では傷を乗り越えられないと気付く。
物事の規則性などはなく、無意味だ。
暴力は新たな悲劇を生むだけだ。
二人共、苦い真実に気付く。
ジジイは中々生き方を変えられないし、仕事で身についた考え方しか出来ない。

一つ一つの出来事に関連性はなくても、人間は因果というストーリーで物事を捉えようとする。
こうなってしまったのは、何か原因があると思い込むのだ。
物語には必ず因果があるが、現実の出来事にはそんな因果などはない。

だが因果ストーリーを信じるあまり、主人公たちは間違った行動をしてしまう。
現実を素直に受け入れることができないせいだろう。
因果ストーリーという虚偽を信じて、その虚偽に向かって走ることで精神を保っている。
バタフライエフェクトは物語だけのもので、現実とはシビアな事実があるだけなのだ。
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