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ガザ・サーフ・クラブのshimaluckyのレビュー・感想・評価

ガザ・サーフ・クラブ(2016年製作の映画)
4.1
ガザに閉じ込められて未来がない。唯一の気晴らしと何かの達成感は海にしかない。

コレは2014年の光景だ。

若者もかつての若者もビーチに出て波に乗る事で自分を保っている。モノはない。ボード一つも現在の材料がなく作ることも出来ない。

女性についても語られている。
父親に水泳やサーフィンを教わった姉妹、16歳のお姉さんは周囲の目が煩く、泳ぐことをやめてしまった。父親にも「女性が泳ぐなんてはしたない」と進言する人も多いという。

ツテを頼ってハワイにサーフィン産業を学びに行こうと奮闘する若者とイスラムの慣習と対峙する姉妹と2つの軸で話は進められている。

普段は病院に勤務するワカモノ、どうにかしてハワイへ行こうとするが、なかなかビザがおりない。

「ハワイで色々勉強してから、ガザに戻ってサーフボードの輸入を生業にする」

と仲間に誓う。
やっとのことでハワイに行くことができた彼は、

「ココの人はなんてみんな親切なんだ?」

と天国のように感じる。
最初だからというのもあるが、あたりが軽いからフレンドリーにみえるだけ。それでも砲弾が降ってくることはない。

イスラエル軍の攻撃と信仰で、日々の生活が脅かされている中、サーフィンを通じて、自分を売れる自由、夢を見る自由、もちろんイスラム圏なので、女性蔑視は見事に描く。

今、みんなはどうなっているのか。無事、生きていられているのか。生きていて欲しい。
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