daiyuuki

先生、私の隣に座っていただけませんか?のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.7
夫の俊夫(柄本佑)は、かつて有名漫画家だったが、いつしか「何を見ても触発されない。何も感じない。何も浮かばない」と作品を発表出来ず、妻で漫画家の佐和子(黒木華)のアシスタントとしてうだつが上がらない日々を過ごしていた。
妻で漫画家の佐和子は、かつては夫の俊夫のアシスタントだったが、今では売れっ子漫画家になっていた。
夫の俊夫の浮気をうすうす疑っていたが、結婚5年目の夏。
夫の俊夫が、不倫をした。
それは、よくある夫婦の出来事、のはずだった・・・
漫画家・佐和子の新作漫画のテーマは・・・「不倫」
そこには、自分たちとよく似た夫婦の姿が描かれ、佐和子の担当編集者・千佳(奈緒)と不倫をしていた俊夫は、「もしかしたらバレたかもしれない! 」と精神的に追い詰められていく。
さらに物語は、佐和子と自動車教習所の若い先生の新谷(金子大地)との淡い恋へ急展開。
この漫画は、完全な創作?ただの妄想?
それとも俊夫の不貞に対する、佐和子流の復讐なのか!?
恐怖と嫉妬に震える俊夫は、やがて現実と漫画の境界が曖昧になっていく・・・
「いたくても いたくても」「ANIMAを撃て!」の堀江貴大がオリジナル企画とクリエイターの発掘を目的にした「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」で準グランプリを受賞した自らの企画・脚本を映画化。
俊夫の浮気を確信した佐和子は、密かに俊夫に内緒で不倫もののラブサスペンス漫画のネーム(下書き)を描き、その中で佐和子と自動車教習所の若い先生の不倫を匂わせ、俊夫の嫉妬を掻き立て、俊夫の浮気を暴き復讐しようとする。
俊夫は、佐和子が描いたネームに嫉妬を掻き立てられながらも、佐和子の本心を探る。
佐和子と俊夫の、お互いの本心や真実を探り合う駆け引きの中で、佐和子が描いたネームと現実が交錯して真実を探れば探るほど迷路に迷い込んでいくストーリーが、ほとんど表情を変えない中で嫉妬や複雑な心情を秘め夫の俊夫に漫画のネームを駆使しての駆け引きを仕掛ける佐和子を演じる黒木華と佐和子に翻弄され嫉妬を掻き立てられる俊夫を演じる柄本佑の緩急の効いた演技合戦、現実と漫画が交錯していく観る者を惑わす巧妙な展開で描かれていて、柄本佑の硬軟緩急自在の演技もあって、夫婦関係とクリエイター同士の駆け引きや愛憎関係を、ラブサスペンスとラブコメディの間のあわいを絶妙に突いていくのが、観ていて心地よく翻弄され、ヒッチコックやシャマランを意識したラストの2段オチは見事に裏切られた痛快感が爽快なラブサスペンス映画。
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