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テーラー 人生の仕立て屋のcinecoroのレビュー・感想・評価

テーラー 人生の仕立て屋(2020年製作の映画)
3.5
違うところで観たけどいかにも銀座シネスイッチでやってそうな、おばさまたちにこよなく愛されそうな映画。ラストまでまあこういう感じかな、という流れで安心できる。
至る所に乙女要素満載なので(衣擦れの音、オーダーメイドのスーツ、仕立て道具が並ぶ古い工房、移動式屋台、必要ないのに普段からスーツを着込む老人たち、そして!豪奢ではないチャーミングなウエディングドレス!)観ているだけで気持ちが弾む。
小気味の良いリズムに乗せて響く音楽と生活音も凝っていて楽しい。
観光客も多いラフな格好の人々が歩くアテネの街を、スーツを着込んでガチャガチャした屋台を引っ張るニコは異質で、伝統を守るだけでは生き残れない悲哀と、新しいことにシフトチェンジできる若い世代の軽やかさが溶け合って、郷愁とも希望ともとれるラストに向かう。
庭で踊って終わるような結婚式って良いなあ。民族性もあるから日本のおじちゃんおばちゃんたちが集っても絵的にちょっとな…とは思うけど憧れる。
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