このレビューはネタバレを含みます
モリッシー、95年の来日公演の衝撃をいまも覚えている。
ピンナップから抜け出してきたようなジーンズのお尻ポケットにグラジオラス(生花)を挿したファンがあちこちにいたり、ライブが始まると絶叫しながら柵やセキュリティを乗り越えてステージに突進、ガンガンにモリッシーに抱きつくファンが続出。それを毎度のことでと受け止めながら飄々と歌い、マイクのコードを鞭みたいにぶん回すモリッシー。バンドの演奏は爆音で、その日は耳鳴りが止まなかった。
因みにモリッシーに抱きついたファンは、ほぼ男性であった。
そんなモリッシーがいたバンドがザ・スミスで、そのファンがラジオ局をジャックしたと云う事件、
どうやら都市伝説のようだけど、
事件から着想を得たのが本作。
事件そのものはさておき、
(当時の)ザ・スミスが若者世代に与えた影響の大きさを上手く表現した映画だとおもえた。
ヘヴィメタ専門のラジオ局をジャックしたと云う設定や、(ザ・スミスを)批判しながらもやけに的を得ているヘヴィメタDJも含みがあるのが現在的で良い。
ザ・スミスのと云うよりも、モラトリアムな青春映画として良作でした。
メンバーのインタビューや、貴重な12インチシングル盤などが流れる(映る)のも良い。