三四郎

猟銃の三四郎のレビュー・感想・評価

猟銃(1961年製作の映画)
3.0
李朝の壺は美しい。故に好きだと言う。そして、愛とは執着だと。
「僕は美しいものが好きです。僕が李朝の壷に執着し、あなたに執着してどこが悪いんです。(略)美しいものを愛するのに理屈はありませんよ」
原作小説のことを考えずに、ただ、佐分利信の役を上原謙が演じたら…と考えるとおもしろい。同じストーリーでもまた違った物語になっただろう。
タイトルも『猟銃』という獣臭のするものではなく、もっと洗練されたものになったと思う。『猟銃』ゆえに、無骨な佐分利信が合う。

門田病院の病室シーンで岡田茉莉子と山本富士子が会話をしているが、その背景の窓外の煙突から赤い煙が出ている。これが気になってしょうがなかった。ものすごく有毒な感じがした。

岡田茉莉子の心情はわかるとしても、山本富士子の女心がわからない…と思いながら見ていたが「愛することの苦しさに耐えかねて 愛される幸せを求めた」という最後の告白を聞き、やっとわかったような気がした。

娘・鰐淵晴子が一番可哀想だった。
「大人の世界は淋しいのね、恐ろしいのね」と言い、母の不倫相手・佐分利信も、母の従妹で佐分利の妻・岡田茉莉子も、母・山本富士子も、自分の大好きな人たちみんな「いけない」と泣く。その姿に同情せずにはいられない。

山本富士子は、豊満だ。
ゆえに着物姿がよく似合う。洋服姿はどうなるのだろう。
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